君の背中【赤羽業】4 (ページ10)

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｢なんなんだよアイツ！！｣

案の定、E組へ戻ったあと口々に竹林くんの事でぼやきはじめた
でもその気持ちもわかる
納得がいかない、何故彼が100億のチャンスを逃してまで本校舎に戻ったのか

｢とにかくああまで言われちゃ黙ってらんねー！！放課後一言言いに行くぞ！！｣

その言葉通り
放課後私たちは本校舎へと向かった

｢おい！竹林！！｣

その声に反応し竹林くんは私たちの方にからだを向ける

｢説明してもらおうか何で一言の相談もないんだ竹林｣

磯貝くんが委員長らしくクラスのみんなの気持ちを代弁する

｢なっ…何か事情があるんですよね？夏休み旅行でも竹林くんがいてくれてすごく助かったし！！普段も一緒に楽しく過ごしていたじゃないですか！！｣

珍しく奥田さんが声を荒らげる
彼女はこの夏、特に竹林くんと一緒にいる時間が多かったからだろう

｢賞金100億殺りようによっちゃ上乗せされるらしいよ分け前いらないんだ竹林くん無欲だね～｣

相手を乗らせるようにカルマは言った
するとその言葉に竹林くんはメガネをクイッと上げる

｢…せいぜい10億｣

｢僕単独で100億は絶対に無理だ上手いこと集団で殺したところで僕の力で担える役割は…分け前は10億がいいところだね｣

10億…私たちには馴染みのない巨額だ

｢僕の家はね代々病院を経営してる兄ふたりも揃って東大医学部 10億って金はうちの家族には働いて稼げる額なんだ｣

彼の表情がいつも以上に見えない

｢できて当たり前の家なんだ出来ない僕は家族として扱われない僕が10億手にしたとして家族が僕を認めるなんてありえないね｣

｢昨日初めて親に成績を報告できたよ僕にとっては地球の終わりより100億よりも家族に認められる方が大事なんだ｣

みんなの顔が複雑な表情を浮かべ出す
それでも渚くんは竹林くんを追いかけようとした
しかしそれはある意味意外ではない人物に引き止められることになる

｢やめてあげて、渚くん｣

神崎さんは優しく渚くんの腕を引っ張った

｢親の鎖って…痛い場所に巻きついて離れないのだから無理に引っ張るのはやめてあげて｣

私が思うにこのクラスの何人かは家族の呪いにかかってしまっている人がいる
…私も該当者なのかもしれない
海外の進学校で教師をやっている父親を思い出した

学校ではその呪いの解き方を教えて貰えない
だから永遠に苦しめられるんだ