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「カルマ…!」


救われたように振り向きカルマの姿をとらえる
すると2人組は、男いんのかよと舌打ちをし人混みに紛れて見失った




「全く 勝手に行くんだから焦ったよ」




カルマは呆れた様子で私を見る
戻るよと手を差し伸べてくれるが私は足の痛みと鼻緒が切れているため動けず立ち止まってしまった




「ほら、早く行く…って足怪我してんじゃん」




カルマは私の足元に視線を向ける
私は申し訳ない気持ちで経緯を説明すると
はぁ…と大きな溜息をつきまた私に視線を戻した




「足は靴擦れして鼻緒も切れる、しかもナンパまでされて…ほんと何か仕組んでんじゃないかって思うよ」




それは私が言いたいセリフだ
こんな災難な夏祭り生まれて初めて
私は撃沈し俯くと隣にいたカルマが低くしゃがんだのが見えた



「何…してんの?」


「乗れってこと 歩けないんでしょ?」



カルマがさっきと違い優しい声で私に言う
重いからいいよと遠慮するも早くしろと急かしてきたため大人しくおぶられることにした



カルマの背中は私よりも大きくて、改めて男の子なんだなって実感した
そして、ここまで探してきてくれたことに少しだけ心が雀躍する



カルマの肩あたりに乗せていた腕をきゅっと握りしめた
そのせいで余計に距離が近くなるけど今はそんなの気にしない



「ありがとう」



私は精一杯の感謝を囁く
いつも突っかかっていくくせに、助けて貰ってばかりの私を呆れず見捨てないカルマは本当に優しい
優しすぎて…自分が情けなく感じる




「どういたしまして」




カルマは背中越しにそう発する
雑踏と共に消えそうなくらい小さな声は私だけに聞こえているようで心拍数が一気に上がった








その後
カルマは私をみんながいる場所より少し離れたところで下ろし、手当てを終えた



すると夜空に美しい花火が打ち上がった



「綺麗だね」




私がぼそっと呟くとカルマもそうだねと同調し空を仰いだ



「来年もまた来ようね」



そうはっきりと伝えるとカルマは驚いたように目を見開く



「海見せた時に夏はもう来ないみたいな雰囲気で話しかけてきたの誰だったっけ」



いたずらにカルマが笑う
それはかつて私が発した言葉だった


一学期、濃い時間を過ごしたけど二学期はもっと波乱な時間が訪れそう
そんな予感が花火とともに打ち上がっていった

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作者名:みづき | 作成日時:2020年3月17日 21時

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