君の背中【赤羽業】4 (ページ7)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:110,350 hit

7 ページ7

屋台の匂いや子供たちのはしゃぐ声が徐々に増してくる
もう会場が目の前だということが容易に想像できた

人混みがどんどん押し寄せてくる中カルマがさりげなく私の手を強く握る

｢何食べたい？｣

｢んー…いか！｣

｢あはははっ去年と同じこと言ってるオヤジくさいねぇ｣

ケラケラとバカにしたように笑うカルマ
美味しいじゃん、いかと反抗するとそうだねとあやすように私を見る
なーんか不服だな

｢お、いいこと思いついた｣

｢どこ行くの？｣

そう聞くと荒稼ぎしに行くから待っててとだけ言い残し、くじ引き屋の前まで走っていった
よーく見るとあの頭脳を使ってくじ引き屋のおじさんをめちゃくちゃ困らせてる

でも荒稼ぎはみんなやってるみたいで

渚くんとカエデはヨーヨー釣り、磯貝くんは金魚すくい、千葉くんと速水さんは射的…と暗殺でつけた力を使って無双してた

考えてることはみんな一緒なんだね

私はこの間にイカ焼きを買いに行こうと少しだけここから遠いお店まで歩き始めた

足の指先からジクジクと痛みを感じる
ぱっと下を見ると右足が下駄の鼻緒に擦れて赤くなっているのがわかった
たった数歩しか歩いてないのに…

さっさと買って絆創膏貼ろう
私は痛みを我慢しながら足早にイカ焼きを買った

カルマが戻ってくるまでに帰ろうと振り返ると、先程の倍以上の人が密接していて押しのけないと通れないような状態になっていた

｢わっ…ごめんなさい｣

人をかき分けながら歩くと突然ブチッと音がしてそのまま前の人によろけてしまった

｢お、大丈夫？うわっ鼻緒切れてんじゃん｣

男の人の声に私はもう一度足元を見る
そこには赤くなった指と指の間と切れた鼻緒が目に映った

私は恥ずかしくなって平気ですと言って逃げようとする
しかし男の人の強い力で腕を掴まれてしまった

｢君、高校生くらいだよね？1人ならさ俺らと遊ぼうよ｣

…こんなことあのホテルでもあったな
でも今の私は矢田さんみたいにバッジとか持ってない
どうしよう…と焦り始めた

｢悪いけどお兄さんら、この子俺の連れなんだわ｣

聞き馴染みのある声とぽんと頭に乗せられた手の感覚に目を見開く