君の背中【赤羽業】4 (ページ32)

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寺坂組の時間ページ32

シロがこの場を去ったあと
殺せんせーは気絶したイトナくんをみて口を開いた

｢触手は意志の強さで動かすものですイトナ君に力や勝利への病的な執着がある限り…触手細胞は強く癒着して離れません｣

｢そうこうしている間に肉体は強い負荷を受け続けて衰弱してゆき最後は触手諸共蒸発して死んでしまいます｣

…それはあまりにも可哀想すぎる
あんな感じだったけど、齢15にして死を迎えるなんて早すぎる

｢後天的に移植されたんだよね？それならなんとか切り離せないかな｣

片岡さんが鋭い質問を投げると殺せんせーは考えるような顔して私たちに言った

｢彼の力への執着を消さなければそのためには…そうなった原因をもっと知らねばなりません｣

でもイトナくんは私たちに心を開く気はあまり無さそうだし…身の上話なんてするはずがない

すると不破さんの携帯がピロンと鳴り画面をじっと見つめる

｢その事なんだけどさ…気になってたんだ
どうしてイトナくんは携帯ショップを襲ってたのか｣

｢で、さっきまで何度か律とやり取りしてたんだ機種とか戸籍とか彼に繋がるものを調べてもらって｣

さすが不破さん
そこまで頭が回っていたとは

｢そしたら堀部イトナってここの社長の子だったの｣

私たちにその画面を見せる
そこには堀部電子製作所と書いてあるホームページが表示されていた

｢世界的にスマホの部員を提供していた町工場だけどおととし負債抱えて倒産しちゃって社長夫婦は息子残して雲隠れだって｣

…これでなんとなくみんな想像がついてきた
イトナくんが力や勝利を欲しがる理由を

｢ケッつまんねーそれでグレたって話か｣

｢寺坂！｣

｢みんなそれぞれ悩みあンだよけどそんな悩みとか苦労とかわりとどーでもよなったりするんだわ｣

寺坂くんがズルズルとイトナくんを引き上げる

｢俺らんとこでこいつの面倒見させろやそれで死んだらそこまでだろ｣