※１９※ remember ページ24
Sside
話は…そう、中3の夏。
二年前の夏に遡る。
「おし、気合い入れてくぞっ！！」
『おー！！！』
キャプテン、且つサッカー部のエースだった俺は、みんなからのプレッシャーがかかっていた。
だからなのか、その日は、試合以外であまり周りを見ていなかったんだ。
「櫻井！パス！！」
「…っ」
その日は、かなりの炎天下。
みんな、汗だくでボールを追いかけていた。
___＿ピピーッ
そんな時、急にブザーがグランドに鳴り響いた。
「…熱中症？」
相手チームの選手が熱中症で倒れたとのことだった。
プレーの途中だけど、これ以上続けるのは危険だと判断され、試合は中止になった。
そんな時。
「翔ちゃん！」
後ろから、聞きなれた声。
振り向けば、ゴールの横に立って手を振る和。
「和！来てくれたの？」
でも、ここからゴールまでは少し遠くて、
少しフラつきながら和の方へ足を進める。
「翔ちゃんっ、フラフラするの？」
「ん？大丈夫。」
お互いの距離が遠いため、
二人とも声が大きくなる。
和まで、あと5メートルほどになった時。
「ぅわっ…」
急に強い突風が吹いた。
危ない！！！
と何処かから叫び声が聞こえて、
はっと顔をあげれば、
ゆっくりと和の方へ倒れていくゴール。
「和っ！！！」
無意識だったんだ。
ただ、必死で和を突き飛ばしたことは覚えてる。
その時の痛みなんて、覚えてなくて、
頭には、翔ちゃん！と涙声で叫ぶ和の声だけが残ってた。
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作者名：aki | 作成日時：2015年3月25日 16時
