Sunday Morning − 3 ページ3
・
「どけッッ!!邪魔なンだよ!」
「早くこっちだってば!!!靴とかどーでもいいから!!」
「Hey Siri,ゾルタクスゼイアン」
「うっせー消えろブス!お前から死ね」
「皆んな逃げてて草 もー無理っしょ笑」
〈まもなく電車が通過します。危険ですから黄色い線の内側までお下がりください〉
「無理無理無理無理無理」
「_あ、もしもしお姉ちゃん?...うん、うん。大分はどう?_そっか、良かった。......お姉ちゃんあのね、...わたし...」
フィラデルフィア上位互換なる東京の空を翳りが侵食していく。揺るがぬ脅威を前に命の危機に晒された都民は袋の鼠そのもので、人類呪霊同化へ布石を投じた羂索の死後その権利は宿儺へ譲渡され、今じゃ街灯に落ちる影までもが呪いの王の支配下に置かれた。
「ハハ、ほんと...凄いな。ゴジラみたいだ」
「完全にSF映画の世界だよね」
「確かに。なら僕らはこの世界のエキストラってわけだ」
強者は強者故に生を謳歌し弱者はそのツケを払わせられる。
この地球上の何処にも仏はいないんだと思った。
地獄があるならきっとこんな場所なのだろうと思った。
呪霊にとって人一人の命は有象無象で確認作業の過程に過ぎないのかもしれない。しかし一輪咲いても花は花。断固として十把一絡げに扱っていいものではなく茎を手折って摘み取られるべき花ではない筈だ。
(死ぬのか、本当に)
死ぬのか、本当に......?
本当に、死ん......
嘘だ。
嘘だ、嘘だ!嘘だ!!
「ねぇ、なんでスウェーデンに戻らなかったの」
「...それは君の事を」
「やめてよッ私は、帰れって言ったのに!!外国籍の貴方には帰国できる権限が許されてたのに!瀬戸際で自分の命と
瞳に薄い膜が貼りみるみる内に涙が溢れ頬を伝う。
今回の件で日本に残る決断をした彼とその決断に発狂した彼の両親から彼宛てに殺気立った鬼電が掛けられていた事を知っているからこそ二進も三進もいかなくて胸に迫り上がる綯交ぜの想いを吐露したが、どのみち猶予はもう残されていない。
けれども彼は観心を買う様子が微塵もなく悠揚として迫らざる態度だった。
Sunday Morning − 4→←Sunday Morning − 2
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:映国 | 作成日時:2024年2月26日 22時