遅すぎた朝食【呪術廻戦】 (ページ1)

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Sunday Morning －１ページ1

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　靴紐がほどけたので、硬く結んだ。

　下を向いていいのは靴紐を結ぶ時だけだと恩師から宣った金言を人生の標榜とし生きてきた。しかしどれだけ善良に生きていようと支払い日は来るし靴はなくす。そしてその日はまるで帳尻合わせのように訪れた。

【羂索画策による日本国民を対象とした天元との同化】

　事の発端は2018年10月31日、渋谷で起こった人災にて呪霊の存在が各省庁から公表されたことにより国民の生活は大きく一変した。

　当初は皆自国の有事であるにも関わらず対岸の火事だの２番煎じのノストラダムスの大予言だのと高を括り何の変哲もない暮らしをしていたのだが、今尚禁止区域に指定されている渋谷へ肝試しと称して生配信を撮っていたYouTuberが何者かの襲撃により命を落とした瞬間が一時期規制されてない状態でTwitterのTL溢れると直にトップニュースに取り上げられるまで信憑性が高まり、日本国民もれなく全員のパスポートが失効しビザも発行出来ない謎の出国禁止命令を下された辺りで「これは只事じゃない」と危機感を覚え、次第に呪霊が視える人が増加していき、それらひっくるめて自分の人生と無縁だった呪霊なるものの存在を裏付ける証拠の決定打となったのだ。

　さて、ここで追い詰められた人間の取る行動は縦横無尽で国民総数分のパターンが存在する。神頼みする者、連日乱闘騒ぎを起こす者、密国する者(これは全て失敗に終わり監獄で終身刑を言い渡される)、ドーパミンの過剰分泌で快哉を叫ぶ者、地方へ避難する者、自死する者、余生を受け入れた者...と語り出したら枚挙に暇がない。

　慇懃無礼でインモラル、国民性を疑ってしまうが最終的に行き着く先は【天元と同化】のみである。宇宙誕生から138億年及ぶ歴史の回覧を通したところでそんなバカげた話一体誰が信じるというのだろう。だが当時学生運動を起こした関係者を筆頭にあちこちでテロが勃発し、関東地方を中心に妊婦と赤子はみな無差別に殺され、ヤクザ絡みの闘争にいつしか一般人も巻き込まれるようになり、烏合の衆によって日本の秩序は崩壊し治外法権が所々乱立した。

　海外から高い技術と堅実な国民性を絶賛されGDP上位国だった日本は今や見る影もなく、起こりうる現状から目を逸らし目の前の問題を遠ざける事もまた、己を非国民だと戒める他なかった。

「五条悟死んじゃったね」