青学にやってきたのは皇子様でした (ページ21)

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一人の少年ページ21

side不二

痛みを覚えて目を覚ますと、僕達は見た事がない所に居た

Aの部屋に行って..それからどうなったのか
途中記憶が抜け落ちてるけど..ともかく、今はこの状況を把握しないといけないよね

皆はまだ気を失ってるみたいだ

「...」

多分、ここは牢か何かだろう
鉄格子があるし..何より手錠をかけられてるしね

...牢に入ったなんて姉さん達に何て言われるか
いや、それよりAを探さないと..

??「おや、お目覚めでしたか」

どうしようかと考えていたら不意に
声をかけられる

驚いて鉄格子の向こうを見ると先程まで誰もいなかった筈なのに、いつの間にか男が立ってた

??「おはようございます。侵入者殿」

そう向けられた笑顔は
とても凍てついた冷たいものだった

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side紅明

目覚めているのは物腰の柔らかそうな少年のみ
しかし..何処か油断が出来ないですね

「見た通り此処は牢です」

??「はい」

見知らぬ場所でも動揺しない。状況を把握しようとしているのか、それとも別の何かを考えているのか..

「さて、早速ですみませんが答えて貰いましょうか」

私はA達と茶飲みをする前に拾った物を懐から取り出し彼の前に差し出す

??「...それ」

「...持ち主は貴方ですか」

目を見開く少年を見て思わずため息が零れた

??「.....返して下さい」

「訳の判らない事を申されるな。自分の状況が判らない訳でもあるまい」

??「意見が出来る立場じゃないのはわかってます。けど...それは僕の仲間の大切な物なんです」

先程拾ったものはAに渡した首飾り

あちらの世界にルフはない。故に、例えば魔力操作をした場合はルフが居ない為に魔力回復も出来ないから死んでしまう...この首飾りはそれを防ぐ為に渡した魔力補給の為の道具だった

??「それが無いと僕の仲間が苦しむ」

「..たかだか首飾りで苦しむのですか？その仲間は」

??「そうです。だから返して下さい。それが無いと.....その子が心配なんです」

かまをかけて問いかければ、少年は言った
何の躊躇もなく苦しむのだと....助かる為の嘘ではないらしい

「返しても良いですが、どのみち貴方達は処刑を待つ身。その子になんて会えませんよ」

??「..」

「お望みならば返します」

此処にはルフがある。これがなくともあの子が息絶える事はない

鉄格子越しに首飾りを放る
少年は放られた首飾りを眺め口を閉ざした

「...」

出してくれと、何故だと聞く事を忘れる程に
この子の頭にはAの存在があるのだろうな