青学にやってきたのは皇子様でした (ページ16)

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家族ページ16

国に着いてからもAはずっと僕の手を握っていた

Aは七つを過ぎた時から、手を繋ぐ事をしなくなった。そんなAが自ら僕の手を繋いで来るんだ..よっぽど参ってたんだろう

「..炎兄に報告行ける？」

『...行..けます』

「..」

鼻を啜って答えたAを横目で振り返れば
意地でも泣くまいと口を固く結んでいた

こんな状態で報告出来る訳がないけど..

「大丈夫だよ〜、Aならやれる。僕の弟だもんねぇ」

少しでも気分が和らぐ様に微笑み言うと
Aの顔がふわりと和らいだ

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side紅炎

書物を読んでいれば扉の向こうから居る筈のない奴の目通りを願う声がした。許可を出ししばらくすると、Aが入って来る

『練A。只今帰還しました』

「...あぁ」

留学を決めた期間とは遥かに違い帰りが早すぎ
る

「此度の留学、やはりお前にはまだ早かったか」

持っていた書物を置き頭を垂れるAに言えば
Aは一瞬肩を強ばらせた後に口を開いた

『...此度の留学では..我が国の為となる収入が得られないと判断した為..当初の予定より早い帰還となりました..』

「...」

『あの国は戦争がありません。統治者は居れど国の安定は保証されていなく..無法者がのさばり、警察と言う組織はあれ、ほとんどの悪人が世にのさばった状態でありました』

「そうか」

『..生きる者も甘い者ばかりで..』

俯いているから表情は判らないが
声色からして相当参った状態だな..

「もう良い」

『！...申し訳ありませ━━』

慌てた様子で顔を上げたAに俺はなるべく優しく問いかける

「お前自身はどうだったんだ」

『..』

「お前は何も得られなかったのか？」

『...正直..わかりません』

Aは俺から視線を逸らしポツリと零した

『彼等は..違い過ぎてわかりません..優しすぎて、わかりません....俺には..何も、わからなかった..』

「...そうか...もう戻れ。疲れただろう、ゆっくり休むと良い」

『はっ』

一礼した後に踵を返したAの背中に最後に一言おかえりと投げれば、俺を振り返り久しぶりに笑顔を見せた

『ただいま、炎兄！』

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Aが部屋から出て行きしばらくした後
入れ違いに紅明が入って来る

紅明「Aはどうでした」

「駄目だ」

紅明「そうですか」

「お前や紅覇が息抜きの為と向かわせた事に異論は無いが...お前はこうなるとわかっていた筈だ。紅明」

鋭い視線を向けた俺に紅明は笑を返した