49話 ページ16
水の中で
どれだけ動いても上にはいけなくて、踠けば踠くほど体は沈んで動かない。光なんて見えなくて自分がどこにいるのかさえ分からない。まるで底なし沼のような場所だった。
やがて息ができなくなって、ゴポゴポと気泡が自分を嗤うかのように上へと上へと上がっていく。それが苛立たしくて…
羨ましくて
手を伸ばしたはずだった
｢ここ、何処？｣
悪夢を見た気がしました。でも、内容は覚えていなくて…冷や汗で鬱陶しく張り付いた衣服が夢を強調するかのようでした。
暫くして、目を開け体を起こそうとして違和感に気づきました。
手には手錠、足には足枷、それぞれに頑丈な拘束具がつけられており貰った眼鏡もインカムもない、殺風景な地下室と言える場所に僕は連れてこられたようでした。
｢僕は…囮に立候補して…それから｣
起きたてで、覚醒しない頭を使って必死に思い出せばフードを被った第2の敵に自分は襲われて今に至るのだと気づく。あれだけ近付かれても気づけないなら相手は気配遮断のような魔法を持っていたのかもしれない、そう考えつつ拘束具を外す為に魔法を使おうとした時だった。
??｢おや？起きたんだね！first｣
ギギギと重そうな音を立てながら出口が開く そこには心底嬉しそうな笑みを浮かべた自分をここに連れてきた元凶がたっていた。フードは外れ、その顔を隠すものは何も無かった。
一目見てなんとも言い難い、寒気とも、悪寒ともいえる感情が湧き上がりました。僕はコイツを知っている？ …いいえ、そんなことはありません。だって僕は…僕は…？？
??｢おやおや、可哀想に震えているの？それともボクのこと忘れちゃったのかな？酷いなぁ産みの親を忘れるなんて｣
｢僕はお前なんて知りません！！firstなんて名前じゃない！！｣
??｢ふーん？記録部分に外部から細工でもされたか？醜くなっちゃって…まあ、それを含めても調整が必要かな｣
楽しそうに三日月に歪められた口元が一瞬で真顔になる。その歪な在り方に恐怖を抱いてしまう。否定しなければ、早くここから出なくては、コイツから逃げなければ、そう思うのに足が動かない。
嫌だ
いやだ
蛇に睨まれた蛙の様に動けない、逆らえない。圧倒的な力量の差に僕はただ立ち尽くすしか無かった。
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紫陽花(プロフ) - チェシャさん» 今更になりましたがありがとうございます！頑張ります！！ (2018年11月11日 21時) (
レス) id: d583647217 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ - 続編おめでとうございます！これからもお体に気をつけて更新頑張ってください！ (2018年11月2日 20時) (レス) id: bce2687db4 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。確認不足で申し訳ないです。 (2018年10月28日 1時) (レス) id: d583647217 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月27日 19時) (レス) id: 403bff38f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫陽花 | 作成日時：2018年10月27日 18時
