１０４ もう一つの約束 ページ14
″君がその手で世界を変えてよ″
ああ、そうだった。
あの子に、Aに、言われたではないか。
あの短い月日の中で教えてもらったではないか、諦めずに生きていくこと。
あの日々があったから、僕は僅にも世界を変えたし、自らの世界も変わった。
じゃあ、僕は何がしたい？どうなりたい？
野坂はもう一度自分に問い掛ける。
答えは、すぐに出た。
…僕は何を考えていたんだ。
人よりも力が劣ろうと、僕は走りたかったんじゃないのか。
ボールを蹴りたかったんじゃないのか。
『戦術の皇帝』じゃなくてもいい。僕は、ただサッカーをやっていたいんだ。
「……どうしたの？」
野坂の異変に気づいた男の子は、不思議そうに野坂を見上げる。
野坂は、男の子に微笑んだ。
「君のお陰で気付いたよ…何をくよくよしていたんだろう。今の僕はね、サッカーそんなに上手くないかもしれない。
でも、僕も君と同じようにサッカーが好きだ。大好きだ。……だから、僕もまだサッカーを諦めたくない！」
「うん！」
それは、もう一つの約束。
・
・
…僕は帰って来た、このフィールドに！
スタジアムの熱い歓声が戻って来る。
野坂はベンチに座って試合を見ているAを一瞥し、更に目の前のゴールへと顔を上げた。
野坂は膝でボールを力強く蹴り上げ、ボールは宙へ舞う。
今までにない動きに、新技だと気づいた観客達は更に声を上げた。
Aも、手をぎゅっと握って野坂を見守っている。
まるで藍色の夜空から降る月の灯りの如く降下するボールを、体を捻って足の甲と踵、２回蹴ることで勢いをつける。
「月光丸・燕返し！」
放たれたボールは、ゴールキーパーの技を突破し、ゴールに突き刺さった。
これが、フィールドに対する野坂の答えであった。
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通りすがりのジンギスカン(プロフ) - ありがとうございます!更新楽しみにしています! (2023年1月3日 0時) (
レス) id: 8ec3ac3ee0 (このIDを非表示/違反報告)
花鈴萌(プロフ) - 通りすがりのジンギスカンさん» はじめまして！コメントありがとうございます。楽しく読んで下さっていると聞き、とても嬉しいです。パスワード送らせていただきますね！これからもよろしくお願い致します。 (2023年1月2日 22時) (レス) id: 40828a89fc (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのジンギスカン(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく読んでます!続きが気になるので、良ければパスワードを教えて頂けませんか? (2023年1月2日 0時) (レス) id: 8ec3ac3ee0 (このIDを非表示/違反報告)
加茂&夏油の嫁(プロフ) - 花鈴萌さん» こちらこそです！更新楽しみにしています！ (2022年12月31日 5時) (レス) id: ef07d69be6 (このIDを非表示/違反報告)
花鈴萌(プロフ) - 加茂&夏油の嫁さん» はじめまして、ご指摘ありがとうございます。すみません単なるミスです。なぜ今まで気づかなかったのか……！ただ今修正しました。面白いと言って頂けて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願い致します！ (2022年12月31日 5時) (レス) @page20 id: 40828a89fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花鈴萌 | 作成日時：2020年9月19日 10時
