090:蝕む毒に気がつけない ページ9
｢ほら｡上を向け｣
｢うぐぐっ…イダダダっ!｣
｢我慢しろ｣
泣きながら首を無理矢理上に向けられて､鼻のなかにティッシュを突っ込まれる｡これはかなり恥ずかしいことで､知ってか知らずか狡噛さんはお構いなしだった｡
やっと首を離されて､鼻を押さえつけながら睨む｡涙でいっぱいだが睨まざる得なかった｡
｢狡噛さんなんか大嫌いだっ｣
｢はいはいどーも｡鼻血出しながら言ったってカッコ悪いだけだからな｣
ポンポンっと頭を撫でられながら渋々口を尖らす｡
いつだってこの人は私を子供扱いする…なのに朱ちゃんとかには普通に接していて…それが何となく嫌だった｡
理由なんか知らない｡知りたくもない｡知ったところでなにも変わらないような気がしたから｡
･
｢…ばぁか｣
そんな呟きにさえ気がつかないだろうけど｡そんな呟きにさえ…私自身でも気がつかないもの｡
この感情の答えなんて知り得なさそうだし｡
･
･
｢…しかし､このヘルメット…いったいどうやってこしらえたんだ?｣
｢他人のサイコ＝パスをコピーか…技術もだけどお金もないと無理なはな…｣
｢し｣…の一言を言おうとした瞬間｡過る黒揚羽に目が泳ぐ｡
｢……A?｣
呼び掛けられた声が遠くに聞こえる｡肩を揺さぶられるが感覚が皆無｡
5度目それによって一瞬で世界が暗転した｡
･
･
･
(……また…だ)
どこかの地下駐車場｡そこには車が2台止まっている…ミニバンだ｡
そしてその内の1台から降りてきたのは3人｡そのミニバンには札束が見えた｡もしかしたら…これは宜野座さんたちが追いかけていた現金輸送車の…｡
『追跡は上手くまけたようだね』
その声は聞こえた｡聞き覚えのあった声…槙島聖護の声だ｡もう1台のバンに寄っ掛かって…そのなかにはあのヘルメット｡
コイツがやっぱりあのヘルメットを作っていたんだ｡
『しかしすげぇな､｡このヘルメット』
バッドを持った男がニヤニヤとしながら槙島に近づいてくる｡安物臭かつ下品なそれに冷ややかな視線を送る｡どうやら槙島も同じようにそんな視線を送っていた｡
『それだけの数が揃ってたらこの街をしっちゃかめっちゃかにしてやれるよなぁ』
『…だろうね』
『さぞや飛ぶように売れるだろうよ｡シュビラシステムが気にくわないって連中はごまんといる｡あんたボロ儲けじゃねぇか』
『………』
沈黙をする槙島｡まるでなにかを考えているようだ｡
この街をしっちゃかめっちゃか?たかがそんなことのためにコイツが動くはずがない｡
･
なにか…大変なことをしでかす…そんな気がした｡
･
ラッキーアイテム
革ベルト
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つやか(プロフ) - この作品とても大好きです。書いていた当初からずっと見てきました。最近、また読み返してみましたがいつ見ても面白いです。 (2019年2月10日 14時) (
レス) id: 3654d33980 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 87話にも誤字がありました。「年のため」ではなく、「念のため」です。 (2018年11月10日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 84話に誤字がありました。「非常」ではなく、「非情」です。 (2018年11月10日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
月影 炎虎(プロフ) - ноиоkа☆ranranさん» ありがたいお言葉をありがとうございます!マジっすか!?更新がんばりますですよ!!← (2014年10月23日 11時) (携帯から) (レス) id: 2666233967 (このIDを非表示/違反報告)
ноиоkа☆ranran(プロフ) - この小説大好きです！毎日これを楽しみに生きてるくらi((更新がんばってください！ (2014年10月23日 5時) (レス) id: 9fc5edd81e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：画集全部揃えたよーっ!!高かったああああっ!けどすごいよあれ!092:タイトル変えました
| 作成日時：2014年10月21日 0時
