086:非常識な未来 ページ5
ゴーグル越しの…人が入りかう繁華街の路上｡そこではじめて私はこの時代において怒りを覚えた｡沸々と沸き上がる遺憾｡
｢…どうして…誰も助けなかったの…｣
バッと振り返り人民に向かって叫ぶ｡誰もがこちらを見ていた｡…ただ見ていただけだった｡
｢どうして誰も助けなかったのッ!?助けを呼ぼうと思わなかったのッ!?｣
声に反応をした民衆はバツが悪そうに視線だけを逸らす｡なぜそうやって逃げるんだ｡なぜ…こんなにも沢山の人がいるのなら…1人ぐらい助けてもよかったのに…｡
挙げ句の果てには自分の色相のことしか言わなくて…人の命よりもそっちを優先したことに片腹が痛い｡たかが色相ごときで…色相ごときで…｡
肩を捕まれる感覚に視線だけを向ける｡狡噛さんが首を横に振っていた｡
｢A､落ち着け…｣
｢……っっ｣
いてもたってもいられない｡
｢……くそったれがっ…｣
言葉だけを吐き捨てて､唇を強く噛み締める｡口から血が流れるのを気にせずに被害者…藤井博子に手を合わせた｡
･
･
｢結局､誰も事件を通告せずにエリアストレス警報で異常が発覚したってんだもんな｣
｢見過ごしたのは人間だけじゃない｣
視線をあげる狡噛さんの見ている先には街頭にそっくりな色相スキャナ｡それすらも反応しなかった｡
まるでただの木偶の坊のようだ｡人も…技術も…｡
そんな私の口にハンカチを押し当てたのは征陸さんで､言葉は続く｡
｢…よりにもよってサイコ＝パススキャナの目の前で…じゃあ犯人の色相変化もリアルタイムでモニタされてたわけか｣
｢これです｣
六合塚さんに見せられた映像とグラフを見て､怒りを感じたと同時に不意に異変も感じた｡
なにかおかしい…もう一度それを見直すと狡噛さんも同じように反応する｡
｢いや…こいつは妙だ｣
｢見ての通りだろ｣
そう言い返されるが同じように首を降った｡
｢そうじゃない…反応として正常すぎる｣
｢……ねぇ…これ…さ…なんかさっきから変だよ｣
｢おチビちゃんも?｣
｢うん…だって｣
指を伸ばしたが背が届かない(ちくしょう)｡変わりにバトンパスの意味で狡噛さんに任せることに｡それを察してくれたようで狡噛さんがグラフの変化を指差した｡
｢見てみろ｡こっちがエリアストレスの変移｡犯人の色相変化とそっくりそのまま推移してる｡犯人は周囲の目撃者と同じメンタルで移動していたってことになる｣
同じグラフの線が重なって見えるそれは他人と同調していることを意味している｡
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犯人はつまり…鏡のように他人の色相を合わせていると言うことなのか?
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つやか(プロフ) - この作品とても大好きです。書いていた当初からずっと見てきました。最近、また読み返してみましたがいつ見ても面白いです。 (2019年2月10日 14時) (
レス) id: 3654d33980 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 87話にも誤字がありました。「年のため」ではなく、「念のため」です。 (2018年11月10日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 84話に誤字がありました。「非常」ではなく、「非情」です。 (2018年11月10日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
月影 炎虎(プロフ) - ноиоkа☆ranranさん» ありがたいお言葉をありがとうございます!マジっすか!?更新がんばりますですよ!!← (2014年10月23日 11時) (携帯から) (レス) id: 2666233967 (このIDを非表示/違反報告)
ноиоkа☆ranran(プロフ) - この小説大好きです！毎日これを楽しみに生きてるくらi((更新がんばってください！ (2014年10月23日 5時) (レス) id: 9fc5edd81e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：画集全部揃えたよーっ!!高かったああああっ!けどすごいよあれ!092:タイトル変えました
| 作成日時：2014年10月21日 0時
