コード・ブルー ─ドクターヘリ緊急救命─6

183. Hiyama ページ26

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「──結局、他人事でした」









やっぱり駄目だった。というような声で、そう言った。









「可哀想だなとは思うけど、それ以上じゃない。俺にとっての彼は、4日前にたまたま診た患者の1人で、その患者が、今日は臓器提供者になった。…──それだけです」

「…そっか、」

「…俺は、緋山先生が羨ましいです。…患者や、その家族に寄り添えるのが羨ましい」









私は、名取の言葉を聞いて、
7年前のことを思い出しながら、名取に話した。









「…──7年前さ、6歳の脳死の子どもを見たの。…野上翼くん。その時私は、患者と家族に近づき過ぎて、キャリアを失いかけた。…おかげで随分、遠回りもした」

「…」

「でも、その時ある先生に言われたの。遠回りすることで、見える景色もある…って」









私は、あの時遠回りしたことで、
他の人とは違う景色が見れた。









「名取…人それぞれでいいんだと思う。──どんな景色が、見えるかは」









私がそう言うと、 名取が近寄って来て言った。









「…俺にやらせてもらってもいいですか？」

「…うん」









私は、匠くんの頭から手を離して、
名取に場所を代わってあげた。









「…──ありがとう。君のおかげで、6人が生きる。…君はこんな言葉、要らないかもしれないけど」









今、名取には──どんな景色が見えてるんだろ。









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