コード・ブルー ─ドクターヘリ緊急救命─6

178. Aizawa ページ21

-









「──すごいね、驚いた」

「いや、…」








倉庫内からストレッチャーを引いて出てきた灰谷と横峯は、どこか顔が変わっている気がして、オペを成功させたことなんてすぐ分かった。









「バイタル頻回にチェックしろ。最後まで責任を持って見ろ。この患者は──正真正銘、お前が救った患者だ」

「…はい！」









灰谷たちから離れて、Aの姿がないことに気付いた。…別の患者の搬送に付き添ってるのか？









周囲を見渡していると、倉庫内の出口から、
人が倒れるような音が聞こえた。









「────…A！」








倒れ込んだAを咄嗟に抱える。







意識はあるが顔色は悪くて、手先には抹消性チアノーゼの症状。







どうしてチアノーゼなんて出てる…何か疾患を持ってるなんて聞いたことがない。







Aを抱きかかえて、白車に走る。
Aの体は冷たくて、さっきから俺の心臓は嫌な音をたてて、冷静さを失っていく。









白車が目の前になった時──
Aが俺のスクラブを握った。









「どうした！」

「…だめ…」









Aは首を振って、白車に乗るのを拒んだ。









「……立てるから…」









腕から降りようするAの体に、俺はさらに力を込めた。













-

179. Aizawa→←177. Aizawa

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す