コード・ブルー ─ドクターヘリ緊急救命─

002. Aizawa ページ4

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「──バイパス完了。パーマネントクリップ」








張り詰めた空気に、無機質な音が響くオペ室。
患者の脳に目を凝らして手を動かす。









「…面白い」

「難しいほど面白いか。お前らしいね」









隣にいる西条先生が、俺の手元を見ながら言った。








「…今日は朝から飛んでるみたいだな。救命、ここんとこ人が足りてないんだって？」

「みたいですね」

「今さら興味ないか…」









…興味がないんじゃない。









人手が足りてないのは前から知ってる。
救命を離れた今もよくコンサルされて、今の救命の状態を見てる。









「洗浄して閉頭します」

「これが終わったらちょっと話があるんだ、いいか？」









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「──藍沢お前、脳外に来て何年になる」

「7年目です」









オペが終わってロッカールームで着替えていると、
西条先生にそんなことを聞かれた。









「…実はな、トロント大から話が来てるんだ。是非うちから1人、レジデントを受け入れたいって」

「いい話ですね」

「お、興味ありそうだね」

「トロント大の症例数の多さと医療水準の高さは世界屈指です。脳外の医者やってて、興味のない人間なんていませんよ」

「……だよな。うちとしてもね、出来るヤツを送りたいんだ。そうなると…お前か、あいつらかって事になる。いい話には競争がつきものだ」

「…そうですね」









トロント大からのレジデント受け入れの話。
上を目指してきた俺にとって、逃したくはない話。









枠はひとつだけ。
西条先生の言った"あいつら"っていうのは──最初から分かってる。









俺か、新海か────A









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