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「俺はメシ誘ってんのにAには違う言葉に聞こえてた…こわい…」
「いや！だって！」
「俺のことなんやと思ってんねん、サル？サルか？！？」
強い口調で言った後、はああ、とまたため息を吐いてしゃがみこもうとする。
「あー立って立って、ごめんて」
堪えきれず二人で笑って、寒い道を並んで歩く。
小洒落たお店にでも連れて行かれるのかと思ったけど、着いたのは小さな居酒屋だった。
「ここの、なんか鉄鍋の餃子みたいなんがバリ美味いらしい」
「え〜、食べたい」
そうのんちゃんが言っていた通りに餃子はすっごくおいしくて、他の食べ物も全部美味しくて、美味しいものは人を幸せにするなあ、と思う。
「おいし〜！」
「ほんまな、来て正解やわ」
「もっと早く知りたかったな」
駅から少し離れているからか名前も聞いたことなくて、損をしていた気分。
「たしかに、そんな高いわけでもないし」
「定期的に来ておきたかった」
「もうこのへんでメシ食うことなくなるしな」
「……そうだね、やだな」
グイっとジョッキを傾けたのんちゃん。
テーブルに置かれたハイボールの水面がゆらりと揺れる。
「のんちゃん、結局来年どこ行くの？」
そう尋ねれば、フ、と目を伏せて笑われた。
「なんで笑ったの」
「いやそんな話してなかったんか、と思って」
「決まった時はちょっとしたけどね、どこ住むとかは聞いてない」
「……Aは東京やろ？」
「おそらく。とりあえず関東勤務っていう、採用」
「なるほどな」
「で？のんちゃんは？」
「……俺はー」
「うん」
「どこでも可能性あんのよ」
「全国？」
「わりと全国？何箇所かやけど。ワンチャン北海道とかある」
「…へええ」
「もうすぐわかるかな」
「そうなんだ」
「こわ〜〜い」
怖いね、と繰り返すと、テーブルに左肘を置いて頬杖をつきニコ、と笑う。
ほっぺがむにゅっとなってるの、ちょっと可愛い。
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菜 SAI(プロフ) - はじめまして。とってもいいお話でした…！ちょっとヒリヒリしたり、まっすぐだったり、、読みながら感情がたくさん動きました。のんちゃんの重い愛が重すぎない表現で、重くて良かったです！！！ありがとうございました。 (2022年9月3日 3時) (
レス) @page20 id: 671454c607 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花音
| 作成日時：2022年8月18日 21時
