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四回生の後期、もう単位数は足りてるけど、興味のあった講義を2コマだけ取っていたのは、これで終わりだと思うと物凄く寂しく感じたから。

レジュメにメモを取ろうと視線を落としたタイミングで机の上に置いていたスマホの画面が明るくなったので、端末を手に取る。
画面を傾け顔認証をすれば、そのメッセージがのんちゃんからだったことを知った。


『今どこいる?』


『学校』と二文字の返信にはあっという間に既読がつく。


『授業?』
『うん』
『4限だけ?』
『そうだよー』
『教室どこ?』


どういうこと?と思いつつも『661』と答えれば、『りょうかい』と、私は全く了解しない返信が来て、首を捻りつつも前のスクリーンに視線を戻した。



.



教室を出てすぐ、誰かに肩を叩かれる。


「うっす」
「おお、どうしたの」


ふわりと手を上げたのんちゃんが「今日ヒマ?」と首を傾げた。
一応、と頷けば、なんとなく二人並んで階段に向かって歩き出す。


「神ちゃんとごはん行く約束してて、店も予約しててんけど、なくなって」
「うん」
「だからそこ行かへん?」


外は思っていたよりも風が冷たい。
さっむ、と呟いたタイミングで二人ともポケットに手を入れたから、軽く肘が当たった。


「……いいけど」
「けど?」
「……今日、出来ないよ」
「ちょ、待って」


びっくりしたみたいにこっちを振り返りながらポケットから手を出した。


「……ああっ!」


その拍子にのんちゃんのポケットから滑り落ちたスマホ。
しゃがんで拾ったのんちゃんは手首を動かしその表裏を見て確認してる。


「割れてない?」
「うん」
「良かった」
「携帯も一緒にAにびっくりしたわ」
「なんで?」
「いやだって、話聞いてた?」
「なんの?ていうか目立つから立ってよ」


そうすると目をきゅるっとさせて、顔の横で手の平を上に向ける。

「一人で立とうね〜?」
そう言うと顔を上に向け、大きく口を開けて笑ったのんちゃんが、ゆっくり立ち上がった。

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菜 SAI(プロフ) - はじめまして。とってもいいお話でした…!ちょっとヒリヒリしたり、まっすぐだったり、、読みながら感情がたくさん動きました。のんちゃんの重い愛が重すぎない表現で、重くて良かったです!!!ありがとうございました。 (2022年9月3日 3時) (レス) @page20 id: 671454c607 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花音 | 作成日時:2022年8月18日 21時

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