元天才リベロは烏野のマネージャー 12

554.思春期 ページ30

品居side



品居「…お前でさえ、ちょっと歳の離れた俺の話が聞けねえんだ。アイツはまだ高校生。思春期真っ盛りだろ？で、アイツの場合、あのチームは歳が離れすぎてる」

高賀「…あっ」

品居「…一番近いやつで月島と今野が22歳だ。7歳差か？…そんな歳離れてたら、聞ける話も聞けなくなる」


あのチームは瀬戸に取って、全てが上なのだ…

いいように言えば "高みを目指すことができる"

…言い方を変えれば、瀬戸にとっては "刺激がない"

…経験の差、力の強さ、知識量

7歳の差は、瀬戸にとって大きすぎる…

"高すぎる目標" は、時としてやる気と、幸福度を下げてしまう…


品居「…だから、俺は部活ってモノがあるんだと思うし、それにみんなが入る意味ってそういう経験ができるからだと思う…先輩から同級生からアドバイス貰って、歳の近い他の選手を見て感化されて、成長出来る場所だから」


誰しも経験したことがあるだろう…

"あのプロ選手みたいになりたい"

そう憧れた経験…

でも、その選手をライバルとは見たことがないはずだ…

ライバルはもっと身近にいたはずだ

…でも瀬戸の場合は違う

ライバルは俺たちプロか、7歳も上の先輩しかいない

それを選んだのは瀬戸自身だ…

中学のときに逃げた結果だ…


品居「…逃げるなとは言わない。それも1つの選択肢であっていいと思う。ただ、逃げることで、消える選択肢もある。…例えば『進化』とか『成長』って選択肢だな…」


逃げるのは勝手だ…

俺がどうこう言える問題では無い…

そんなものは瀬戸自身が決めればいい…


品居「…逃げても、アイツは強いよ？俺らと対等に戦う技術があるんだから。…でも、それで満足するような奴に俺は興味無い。アイツには期待してんだよ」


1度逃げた瀬戸なら分かっているはずだ…

"逃げる方が後からしんどい" って事ぐらい


品居「…ここで、現状維持を望むか、それとも成長を望むかは瀬戸次第だ」

高賀「…本人に言えばいいのに」

品居「言うわけねぇだろ！」

高賀「なんでっすか！？」

品居「…ネットを挟んだ以上、どんなに歳が離れていようが、俺とアイツは"敵"だ。わざわざ敵を育てるようなこと、俺はしねぇよ」


将来有望な選手が1人減る事は残念に思うが、今の俺では

"腐るな"

そう声をかけるぐらいが、瀬戸のためにできる精一杯である…


品居「…今のあいつに上手く声掛けられるとしたら、親でも、あのチームメイトでもねぇ…同じ高校生ぐらいだろうな」

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