利害一致の臨時マネ 4【青葉城西】

139.左手首 ページ8

Aside


呼吸が荒くなる…


田北『…青城かぁwバスケ止めたんだw』

『田北さんの知り合いですか？』


…見たことない顔だが、胸に着いた組章から、2年生だということが分かる

同級生なのに、田北に敬語…


田北『そっ！友達w』


…気味の悪い笑顔で答える田北

友達？


A『…っ！違うっ！！』

田北『なんでよw…ずっと友達って約束したじゃんw』


…裏切ったのはそっちじゃん


A『離してっ！！』


思いっきり田北の手を振りほどいて電車を降りる…


田北『…ﾌｰﾝ…また逃げるんだ』


田北の声を背に、ホームの階段をかけ下りる…

電車の扉が閉まる音…

電車が出発する音…


改札口で、一気に吐き気に襲われた…


…田北の声

…手の感触

…香水の匂い


…全てが吐き気に変わった


駅員さんに介抱されてるところで、上り電車で降りてきたよこちょが駅員さんに変わって、私を学校まで連れていってくれた…

…そのまま保健室直行

…よこちょは深くまで事情を聞いてこなかったし、クラスの友達にも、女の子の日だからって深く探りを入れないようにしてくれた


…あの日

…私は逃げたんだ

…唯一戦う機会だったのに

…私は、田北から逃げた


…ほんとキモチワルイ



…コソッと寝室を出て、トイレに向かう



…田北に掴まれたところ

…今でも覚えてる


夏なのに、ヒヤッとした手…

どこかのお高いブランド品の香水の匂い…


ジャァァァア…


石鹸を使って左手首を念入りに洗う…


…分かってる


こんな事したって、あの嫌な思い出が綺麗に消えるわけじゃない…


…ほんとにキモチワルイ



A「…ハァ」


ギギギィ…


谷地「…A先輩？」


…隣で寝てたはずの仁花ちゃんの姿


A「…あっ、ごめん、起こした？」

谷地「い、いえ！…その…大丈夫ですか？」


寝れませんか？って優しく声をかけてくれる仁花ちゃん…

ほんとにこの子は優しいな…


A「…ありがとうw…さっ、もう寝よっか？」


明日の朝も早い…

今はゆっくり休むに限る…

ちょうど少し眠気も出てきた…


谷地「はい…あっ、あの！！…私のことも頼ってください！」


顔面がくっつくんじゃないかって勢いで迫ってくる仁花ちゃん…

…多分、松川の話を聞いてなんだろうなぁ


A「…うん、ありがとうw」


いつもより少し満足気な顔になる仁花ちゃん…


…ダメだなぁ私

こんな先輩じゃ…

ちゃんとやんなきゃ…

140.コーチ→←138.量より質

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す