利害一致の臨時マネ 2【青葉城西】

69.進路 ページ22

松川side


部活をやめてから、俺はAに進路のことで1回だけ相談されたことがある…

とある放課後…

みんなが帰った教室…

私立1本狙いだった俺は、人よりも受験が早かった…

教室に1人残って自主勉してたけど、そろそろ帰ろうかと思い、筆箱にペンを片付けようとした時…


ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗッ…


Aが来た…

何も言わず、俺の席の前の椅子に座る…

…相変わらず目は死んだまま


A『…ねぇ、松川？』


膝を抱えて、縮こまったAが切り出す…


松川『ん？』


同じ自治会で親同士仲良かったから、コイツのことはずっと見てきたつもりだった…

目が虚ろになってるAなんて、俺の知ってるAじゃない…


A『…高校どこ行くの？』

松川『青葉城西』

A『…どこソレ』

松川『お前なぁ…』


そういやコイツ、オープンスクール、バスケするんだって言ってて、烏野にしか行ってなかったなぁ…


松川『県内有数のバレーの強豪校…私立だけど、こっからわりと近いし』

A『…ふーん』


聞いてるのか、聞いてないのかよく分からないような態度…


松川『…葉山は？決めたの？』

A『…まだ』


おいおい…

もう進路決めねぇとやばいんじゃないの？

てか、こいつのことなら推薦来てんじゃねーの？

推薦来てなくても、自己推薦とかならどこにでも入れるだろ…

バスケなら県トップだし、オマケに勉強も出来る…

推薦受けるなら、早くしないと…


松川『…ってあれ？…烏野は？』

A『…バスケもうしないから、行く意味ない』

松川『…えっ？』


俺の声に、少し動揺したような目のA…

視線が定まらない…


松川『…なんで？…お前、バスケ好きじゃん』


なんで俺、こんなこと聞いたんだろ…


A『…好きだよ…大好きだよ…でも、田北達が…烏野行くって言ってたから…もうアイツらとは…一緒にバスケしたくないから』


この時、気づいた…

あの噂流してたのが田北達だったんだって…

人を嫌うことを嫌うA…

この前まで、一緒に頑張ってた仲間をこんなに嫌うなんてこと、普通、絶対にありえないから…


松川『…じゃあさ？…』


あれ？

俺、この後、Aになんて言ったっけ…

なんか碌でもないこと言ったことだけは覚えてんだけど…

やべぇ…

なんにも思い出せねぇ…

なんだっけ…

俺、Aになんて言ったんだっけ…

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