海賊になってしまった (ページ3)

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僕を海賊に… ページ3

キーナside

こうしなさい。ああしなさい。あの人と話しなさい。

あーつまらない。

退屈で退屈で、今すぐここから逃げ出したい。

昔、小さい頃メイドが読んでくれた絵本。

海賊が出てくる絵本。

自由に、気ままに、生きている彼等が羨ましい。

僕も海賊に……。

いつからか思っていた。海賊になりたい。

_ｺﾝｺﾝｯ

「お嬢様…。あの…ご主人様がお呼びでございます…。婚約のお話…だとか…。」

メイドが呼んでいる。

またお父様か。

『わかったわ。今行く。』

重いドレスを身につけてだだっ広い屋敷を歩く。

『お父様。お見合いのお話でしょうか…？ならば私は受けたくないです。』

「何度も言うがお前ってやつは！」

延々と説教が続く。もう嫌だ。逃げてやる。

_____こんな家とはおさらばだ。

父からの説教が終わり、僕はつかつかと音を立てて自分の部屋に戻る。

ドアに鍵を閉めて、必要なものをトランクに詰めて。逃げ出そう。

「そこのレディ。何してる？」

誰かの声。後ろを振り向くと、小さい頃夢見ていた海賊が立って(壁に寄りかかって)コインを手で弄んでいる。

『誰？』

「俺の名前はトリック。手先が器用で、元は勝負事はなんでもござれのイカサマ師だったが、色々あって今はバルボッサ海賊団の一員だ。」

そのトリックと名乗った男は本物の海賊のようだった。

__次の瞬間私は涙を流してこう言っていた。

『ねぇ、お願いトリックさん。僕を、僕を海賊にしてください。こんな家はもう嫌だ。お願いです。僕、海賊に…海賊になりたいんです…。』

初めてだった。

自分以外に夢を打ち明けるのは、するとトリックさんは驚いた顔をして言った。

「荷造りは…出来てるな？わぁかった、じゃあ船に行って船長に交渉しよう。それでいいか？レディ。」

トリックさんは僕に手を差し伸べた。

助けられたのは初めてだった。

素敵な人だ。トリックさんは