【呪術廻戦】雲外蒼天 (ページ7)

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教室に傑と二人。

私の髪を指に巻き付けて遊んでいる彼はあの日以来暗い表情ひとつ見せない。

あの会話が夢だったんじゃないかと思うほど。

しかし、だ。もう一人の馬鹿と並んで性格が悪いことで有名(私調べ)だが、アイツに比べれば精神年齢がやや高い。

アイツに比べればね。3歳か5歳か程度のわずかな違い。ほぼ一緒だからね。でっかい子供だよ。

…話が逸れたが、とどのつまり自分の暗い感情をうまく隠しているんじゃないだろうか。

“何か悩んでる？”ってストレートに聞くのはダメだし。“最近どう？”とか…親戚のおじさんか？

ただ彼が、ほんの少しでいいから笑顔になれれば。

「見て、傑。」

ポニーテールをくるくる丸めて片手で収める。

「傑と一緒！えへへ。」

「…え、」

傑がその切れ長の目を丸くして、口を開けフリーズする。そして数秒してから机に顔を伏せた。

あれ、面白くなかった？

「キミって本当…」

「あの、なんかごめん。くだらないよね。」

「…急に可愛いことするのやめてくれ。」

「かっ！？えっ、と…」

どう返事するのが正解が模索するもすぐに断念。黙るしかない。

まずね、急にそういうこと言う貴方こそタチが悪いと思うんですが。

視線を泳がせていると、教室の入り口に人影を見つけて顔を上げた。

「…どうしたお前ら。」

夜蛾先生〜！ナイスタイミング。

今までの気まずい空気を打破する救世主。心の中で拝んでおいた。

先生は私たちを交互に見て首を傾げた後にひとつ咳払いをして、教卓の前に立つ。

「今回もいつも同様任務を渡しに来た。事足りるだろうと傑一人に任せるつもりだったが…A、どうする？」

「どうする、と言うと。」

「Aも明日は空いているだろう。お前の気持ち次第で同行を許可する。」

「！」

夢のことは誰にも話していないが、先日の七海くんたちの件もあり先生は何か勘付いているのだろう。

明日私に他の任務を入れず空けておいてくれたのも先生の采配でしょう？

「行きます。」

「そうか。それでは頼んだぞ。」

そう言い頷いた夜蛾先生は教室を去っていく。

傑は驚いてこちらを見ている。

「A、なんで。」

「最近単独任務が多かったし、一緒に行きたかったからかな。」

「…それは嬉しいね。」

今の傑を一人にする訳にはいかないよ。