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「で、怒られたの？」
硝子がアイス片手にそう尋ねてきた。
「うん、でも二人を助けたからって許してくれた。」
「先生も甘いね。A可愛いからな。」
「いや何の話。」
「あ、一口交換しよ。」
「聞いてないね？」
まだ半袖でもじんわり汗ばむ9月初旬。
公園の日陰になるベンチで涼む。
一方アイスを早々に食べ終え、どっちが遠くまで飛べるか勝負な〜とブランコを立ち漕ぎする悟と傑。高3が何やってるんだ。
「ちょっと痩せたよね。」
「ね。傑、前より痩せたような…」
「アイツじゃなくてAだよ。」
「…そんなことないよ。」
近頃は例の夢のことで頭がいっぱい。
灰原くんの最悪な未来は回避できたが、悩みの発端はまた別なのだ。
当の本人は、ブランコから飛び降り体操選手さながら華麗なポーズを決めた親友を見て大ウケしている。
こっちはこんなに悩んでるんだぞ。
「はぁ、もっと自分を大事にしなよ。」
「え？」
「何を悩んでるか知らないけど、どうせアイツらのことでしょ。一人で何とかしようとしてる。他人のこと心配するくせに自分の優先順位下げすぎ。」
「…」
「急に七海たち追っかけたり。…1年前の“あの時”もAのこと夏油から聞いてどれだけ不安になったと思ってんの。」
「…すみません。」
1年前の任務で私は死にかけた。それを聞き現場にいなかった硝子はどれほどの気持ちだっただろうか
当時の硝子の心情を思うと謝るほかない。
しゅんと俯く私に彼女がまた一つため息をつく。
「Aが強いのは知ってるけど、一人じゃないんだよ。心配する奴は沢山いる。私もそうだし…アイツらもいるだろ。」
アイススプーンで同級生二人を指す。
すると彼らは視線に気づいたのかこちらへ寄ってきた。
「何の話？」
「Aは五条派か夏油派かって話。」
「硝子！？」
何故そうなる？
二人の顔色が変わる。非常にまずい。
「そんな話1ミリも…」
「俺。」
「私だろ。海デートの約束もしたし？」
「傑！デートじゃ、」
「はぁ？俺だってお似合いのカップルだって言われたことありますけどぉ？」
「男の嫉妬は見苦しいよ、悟。」
「嫉妬してんのはそっちじゃねぇの？平気そうなフリして、ダッセ〜。」
抗議の目を向けるが、硝子は我関せずといった様子。
「コイツらの喧嘩止められるのもAしかいないし。アンタに何かあったら困る。」
なんて口元が笑っている。硝子楽しんでるよね？
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作者名：i-su | 作成日時：2023年9月27日 17時
