【呪術廻戦】雲外蒼天 (ページ3)

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＿ここは呪術高専、グラウンド。

「ルール確認ね、術式を使った攻撃は無し、防御時のみ使用可。いい？」

「うん。」

「そんじゃ…はじめ！」

硝子の合図を皮切りに、瞬時に距離を詰めた悟と私は組み合う。

訓練とはいっても、任務が無い期間に体が鈍ってしまわないための運動のような感覚。

だって私たちもう強いし。

私の蹴りは無下限に阻まれ、彼のパンチは私に当たれど術式のおかげでダメージはゼロ。

…きっと制限無しの実戦になれば、最終的に領域展開で押し負けて私が敗れるんだろうな。悔しい。

悟から少し距離を置いた時、私たちを見守る傑と硝子の会話が耳に入る。

「そういや昨日から2年生たち見てないけど、夏油なんか知ってる？」

「灰原が今回の任務は結構遠出だって言ってたよ。」

瞬間、私の脳内に再びありもしない記憶が流れる。

大怪我を負った七海くんと、台の上に横たわる灰原くん。見覚えのあるこの景色はおそらく…高専の霊安室。

そうだ、この任務で灰原くんは。

「もらった！」

「っわ！？」

しまった、気が逸れた一瞬を彼が見逃すはずがない。

目の前に迫った拳をギリギリ避けたが、バランスを崩す。

重心が後ろへ傾いた私の体は地面に打ち付けられた

かと思ったが、

「よっと、」

ふわりと宙に浮く。

浮いたというのはあくまでも比喩、正しくは悟によって抱え上げられた。

「はい俺の勝ち。戦闘中に気ィ抜くなんてAらしくないんじゃねぇの。隙ありすぎ。」

「…にしても、この状況は？」

「勝ったんだからこれぐらい許されるでしょ。どう？お姫様だっ＿＿いッ！？」

ニヤリと効果音が付きそうな表情で顔を近づけてきたものだから、癇に障って頭突きをかます。

無下限を解くなんて随分信頼されたものだが、そこを逆手に取らせてもらった。

「まだ私は負けたなんて言ってないけど。ね、硝子？」

「Aの勝ち〜。」

「おい硝子！ズルすぎんだろ！」

贔屓やめろ！とブーイングしている悟はさておき。

「傑！灰原くん、どこに行くって言ってた？」

「え、たしか⬛︎⬛︎県のほうに行くと言ってたけど。何かあった？」

「ううん大丈夫！ありがとう！」

「どういたしまして…って、A？ちょっと、」

私を呼ぶ同級生三人を他所にグラウンドを飛び出した。

どうか、間に合って。