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「落ち着いた？」
ズズと鼻を啜った私の背中をさすってくれている傑。
人前でこんなに泣いたのは初めてかもしれない、情けないにも程があるな。
「Aがこんなに泣くなんてね。」
「うっ、ごめんなさい。」
「…ふふ、あはは。」
「すぐる…？」
「っふ、なんだか気が抜けたよ。」
先程までの切迫した空気はどこへやら。
今までの傑だ。魔法でも使えるの？なんて軽口を叩くぐらいには。(呪術しか使えないよと答えたらまた笑われた。)
「私は、非術師は嫌いだよ。」
「うん、」
「でもキミにあそこまで言われちゃなぁ。」
「！」
「…そんなに嬉しい？」
顔に出ていたらしい。
肯定するために何度も頷いた。
「結構本気だったんだけどね…惚れた弱みか？」
「なに？」
「いや何も。…ところで、最初に私が呪霊を出したとき何で祓わなかった？攻撃を受け止めて私が呪霊を引っ込めるように仕向けただろ。」
「そんなの、せっかく傑が取り込んだ呪霊だから1体でも無駄にしちゃいけないと思って。」
「…どこまでも優しいんだなキミは。まぁ、そういうところが私は＿」
「？」
何か呟いていたがこの際どうでもいい。
私の最大の目的が達成されたんだ。嬉しいに決まっている。
…そうだ。
倉庫の隅で縮こまっている双子のもとへ歩み寄る。
「初めまして、私は結城A。貴女たちの味方だよ。二人の名前は？」
「…美々子。」
「奈々子。」
「美々子ちゃん、奈々子ちゃんね。傑、この二人は高専で預かろう。」
「私は構わないけど…まだ高専に入学するには幼すぎるし、素性の知れない子を連れ込んで上が何て言うか。」
「私が文句なんて言わせないよ。」
伏黒恵くんという前例がある。この双子のことも、バックに
傑からは意外と強情だよね、と言われたが褒め言葉として受け取っておこう。
さて
「傑、帰ろうか。」
「あぁ。…Aのこと泣かせたってバレたら怒られるかもな。」
帰ろう、一緒にね。
「1回怒られればいいよ。」
「え、」
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作者名：i-su | 作成日時：2023年9月27日 17時
