愛と哀２【約束のネバーランド】

アイが９２つ ページ45

レイ「とにかくお前が死ぬことはないんだよ
だから生きろ！
逃げたふりしてこの方法で...「だめだよ」


焦るレイの声に被せるように

落ち着いたノーマンの声が響く


ノーマン「僕が逃げたらレイやエマ、
他の子供たちが代わりに出荷されるかもしれない
僕の代わりに誰かが死ぬなんて
そんなの絶対に嫌だ


ありがとう
大丈夫、気持ちの整理はついている
明日の出荷は仕方がない
命はくれてやる
でもその他何一つ譲る気はない
負けるつもりも一切ない
僕は勝つ 脱獄を必ず成功させる！
それで十分 これでいいんだ」

ねぇ、お願いだから

自分の命を仕方ないで片付けないで

命を軽く見ないで...


レイ「ふざけるな

じゃあ俺の６年間はなんだったんだ」



レイは誰もが無条件で愛を注がれるはずの幼少期を

家族を守るために棒に振った


でもノーマンは折れない

頭が良いからこその、

悲しくも正しい判断だ


もっと、早く手を打っていれば

何か変わったのかもしれないが


エマ「じゃあ、足折ればいいよ」


その場に不釣り合いなほど
すっとんきょうな声が聞こえた


エマ「こんな派手に怪我してるから私が

代わりに出荷されることはないと思うの

だから代わりに出荷されるなら

恐らくレイ


だからみんなで大怪我しちゃえばいいよ」



レイ「っアハハハハ！

その手があったか！」



エマ「足にしたら歩けないから

腕とかにしよう！」



ノーマン「いや、待って...

必ずしも怪我をしただけで

出荷されないとは言い切れない」



エマ「じゃあめっちゃ風邪引く！！」


最悪な状況をもろともしない

明るい声が室内に響く



エマ「それでもダメならまた別の手を考える

なんだってする！」


ノーマン「何で...

おかしいよ二人とも」



エマ「ノーマンが死ぬよりずっといいよ



だから一緒に生きよう？

ノーマン」


ノーマン「うん」



医務室の扉にもたれ三人の会話を聞き、

ノーマンの言葉にふっと微笑んだ



恐らく今は３人でお互いの存在を

確かめ合っているのだろう
　


あわよくば

あの中に自分もいられたら、なんて出すぎた思いなのか

ノーマンは逃げない


昔から自分より大切なものを優先する人だから


誰よりも頭が良くて

どんな時でも最善を選んで

家族のことを考えて

今も自分の命を捨てようとしている



けれど私はそんな貴方が好きだった

何処で道を踏み外してしまったのだろう


『約束、したはずなのにね...』

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