・67 ページ20
｢____おはよー、久しぶり｣
｢んぁ、ななもり様……？｣
朝日の眩しさにうっすらと開けた目を細める。
そんな目の前にはニコニコな ななもり様が。
｢Aと二日会えなくて寂しかったよぉ……二日ぶりのAも可愛いー！しかも寝起き、ぼんやりした顔もええなぁ……｣
｢うんうん｣と一人で納得しているななもり様。
ベッドの端に腰掛ける彼に合わせるように、私も上体を起こす。
盛り上がっているところ申し訳ないのだが、
｢あの、どうしてここに｣
｢ん？あー、いつもさとみくんがいるもんね。今日は俺なの｣
なぜ今日はななもり様なのか、と追求しようとしたがそれは彼の声によって遮られた。
｢あ、あー！俺やることあるから帰るね！朝ごはん楽しみに待ってる！じゃあね！｣
待って なんて言う暇もなく 彼は弾かれたように部屋を出ていった。
なんだったんだ、一体。
さとみ様関係でなにかあったのだろうか。
……今日からやっとお仕事が再開するのに、なんだか締まらない始まり方だ。
｢んん、なにも気にしないで、気合い入れ直そう｣
｢よし｣と頬を両手で叩き、気合いを入れ直し、気持ちは完全に切り替えられ……
｢____はぁ｣
とはならない。
もうやだ。忘れたい。
でも忘れられない。
ころん様と過ごした夜、ジェル様に聞いてもらった相談、王子様に襲われかけ、さとみ様に慰めてもらった。
そして、昨日は王子様から｢好き｣と言われた。
それは紛れもない事実なわけで。
｢だ、ダメダメ。公私混同NG。よーし着替えよう……｣
思考を完全に別の方向にシフトし、なんとか頭に王子様のことを入れないようにする。
そうだ、借りたころん様の服、洗濯したから返さないと。
あと今日の朝ごはんはなににしよう。
なんて今考えなくてもいいことをぐるぐる考えてしまう。
全ては脳内に王子様という存在を入れないために。
……我ながら重症だ。
そこまで王子様のことを嫌っているなんて……
そして、今日から二日ぶりお仕事なので、服にも気合を入れる。
いちばんお気に入りの赤いリボンのメイド服に決めた。
絶対に黄色なんか嫌だ。王子様に
いつもの二分の一くらいのスピードで着替え、靴を履き 廊下に飛び出す。
朝ごはんはパパっと作り、ほかの家事に専念しよう。
無駄な気持ちをなぎ払うように、小走りで廊下を移動した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「すとぷり」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡糖さん» こちらのほうでもコメントありがとうございます(T T) 以前もらった泡糖さんのコメントが本当に嬉しく、今でも活力になっているので またコメントくださって嬉しいです💕 これからも更新頑張ります！ (2022年3月4日 21時) (
レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡糖(プロフ) - 更新ありがとうございます！今回も読んでいて楽しかったです！ (2022年3月4日 21時) (レス) id: eaad00c70c (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん 本当にいつもコメントありがとうございます✨ 大丈夫ですよ！笑 あれは完全にゴキブリを意識してます、気づいていただけて嬉しいです……笑 (2022年2月10日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - カサカサ…でゴキブリだと思ってしまった私は末期ですね(遠い目) (2022年2月10日 0時) (レス) @page25 id: 7687e77697 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん いつもありがとうございます！！ 切り方もお誉めもいただき光栄です……ありがとうございます(T T) 今後の展開に乞うご期待です！笑 (2022年1月30日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：虹の根元付近に生息しているアイ | 作成日時：2022年1月13日 18時
