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「____そろそろ寝るかぁ」



「ですね……」



だいぶ先程のジャンクフードは消化されたようで、おかげさまで胃も軽くなった。


……ただ、それとは裏腹に 私の心は重くなる一方だ。



「あの、そろそろ自室に帰ります……」



「なんで?一緒に寝よ?」



「だめ?」と自身の可愛さを駆使してそう聞かれては、私も断れない。


こんなことを繰り返してはや四回目。


……完全に漬け込まれている。そんなのは一目瞭然なのだが、なぜか断れない。



「よーし、寝よ……A、その服じゃ寝れないよね。というかその服で僕と寝てほしくない」



服、と思い自身を見ると、仕立てのいいメイド服を着ていた。


……勝手に今日の朝起きたことが脳内再生される。



恥ずかしさで赤面していると、目の前の彼は不機嫌そうにため息をついた。


「顔なんか赤くしちゃってさ。指輪とそのメイド服はいただけないなぁ」


服ならいくらでも変えるが指輪は外せない。


それはやはり王子様と約束した代物だからであって。



「分かりました、服は着替えます」


彼は「つまんないの」と彼のものであろう部屋着セットを手渡してきた。


「すみません、私に背を向けてくださると助かります」


服を脱ごうとしても、いつまでも彼はこちらを向いている。


当然、乙女たるものこんな状況で着替えられない。



「いいじゃん、別に。どうせ見るもんだし」


「兄弟なんですか、あなたたちって」



状況は微妙に違えど、発言があまりにも似通っている。


普段なら 微笑ましい で終わるが、今は違う。



「見せないので向こう向いててください!」


「はいはい、めんどくさいなぁ」



無事に彼を向こう側に向かせることに成功し、恐る恐るメイド服を脱ぐ。


この状況、彼の意思ひとつでどうとでもなってしまう。



私の部屋に戻って着替えようか とも思ったがなにせころん様の部屋から私の部屋まではだいぶ距離がある。



万一、彼がこちらを向いてもいいように私も彼に背中を向ける。


これで被害は最小限に済む……はず。


渡された部屋着を見ると、案外かわいいものだった。


可愛らしい水色で、彼がこれを着ているところを安易に想像できてしまう。



「着替えました」


ゆっくり後ろを向くと、先程と同じように私に背を向けているころん様の姿が。


そういうところはちゃんとしているんだ____、



「黄色とか最高につまんないから次は水色にしてね」


「帰ります」

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虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡糖さん» こちらのほうでもコメントありがとうございます(T T)  以前もらった泡糖さんのコメントが本当に嬉しく、今でも活力になっているので またコメントくださって嬉しいです💕 これからも更新頑張ります! (2022年3月4日 21時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡糖(プロフ) - 更新ありがとうございます!今回も読んでいて楽しかったです! (2022年3月4日 21時) (レス) id: eaad00c70c (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん 本当にいつもコメントありがとうございます✨ 大丈夫ですよ!笑 あれは完全にゴキブリを意識してます、気づいていただけて嬉しいです……笑 (2022年2月10日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - カサカサ…でゴキブリだと思ってしまった私は末期ですね(遠い目) (2022年2月10日 0時) (レス) @page25 id: 7687e77697 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん いつもありがとうございます!! 切り方もお誉めもいただき光栄です……ありがとうございます(T T) 今後の展開に乞うご期待です!笑 (2022年1月30日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作成日時:2022年1月13日 18時

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