王子様に仕えるのは想像以上に大変です。【黄】

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｢わあ、美味しそうですね！ほら、Aも食べましょ｣




パンケーキがくるやいなや、話題を咄嗟に変え目を輝かせる王子様。



先程の言葉の続きが気にならないでもないが、深追いはやめておく。



｢そうですね、いただきます｣



ナイフとフォークを手に持ち、見よう見まねで王子様のようにパンケーキを切っていく。


小さく切ったパンケーキをクリームや苺と一緒に口に運ぶと その美味しさが口いっぱいに広がった。



どんな魔法をかけて作ったのか、ふわふわだけどもちもちしているパンケーキと甘酸っぱい苺、軽めのクリームが絶妙なバランス。


王子様も感動したのか、｢ん、美味しい｣と声を漏らしていた。



八割の人が頼んでいて、王都で話題になっているというのも大いに頷けるほどの出来だ。



｢美味しいですね、これ……！｣


｢ね、僕もこんなに美味しいのは食べたことないかも｣



つい美味しすぎて興奮してしまったが、王子様も静かに興奮している。



夢中で食べ進めていくうちに、お腹も満たされていって 全て食べ終わる頃には 満腹だった。




｢ごちそうさまでした｣


ああ、美味しかったなぁ……と余韻に浸りながらフォークを置く。




｢本当に美味しかったですよね。お会計行ってきますね｣



上着を着て、カバンを持ち席を立つ王子様。


私も上着を羽織り 王子様の元へ急いだ。




・





｢払わせてしまって 本当に申し訳ないです……｣


｢いーの。こういうのは僕が払うものなんだよ｣



結局王子様にパンケーキ代を払わせてしまい、申し訳なさでいっぱいだ。



ただ、私が払うと言ったとて 全力で拒否してくるだろう。



｢本当にありがとうございます……｣


｢だから当然のことですって。次のところ行きましょ｣



私の手を引っ張って先を行く王子様。



こうやって振り回されるのも悪くないかもしれない。

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