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『西棟にて 掃除中』
そう書いた紙を、自室の扉の前に貼る。
今日は掃除をする日だ。一週間かけてお城の全体を掃除していく。
と言っても、お城はとても広いので もちろん手伝ってもらう。
でも今日は窓拭きだけの予定なので手伝ってもらうのは明日からかな、なんて考えながら長い廊下を歩いていると、なにかにぶつかった。
顔を上げると、驚いた顔の ころん様が突っ立っていた。
「すっ、すみません……」
「や、全然いいよ。ところでさ、なにしてんの?」
見ればわかるだろ、と口をついて出そうになったが そんなことを言ってしまえば私の立場は終わりだ。
片手にバケツ、もう片手には雑巾。
どこからどう見ても掃除のおばさんだ。
「今からAの部屋行こうと思ってたんだけど……」
「すみません、私は今から西棟の窓拭きをしようと思いまして」
両手を掲げると、分かってくれたのか「そっかぁ……」と少し悲しげな様子。
私が立ち去ろうとすると、「そうだ!」と声を上げた。
「僕でよければ手伝うよ?」
「本当ですか?ありがとうございます」
やはり窓拭きとはいえひとりでも多い方がいいかと思い 快諾した。
予備の雑巾を手渡す。
「では、西棟へ行きましょうか」
「やっちゃうかんなー」
なにを"やる"のか分からないが、いざ西棟へ。
意気揚々と歩いていると、いきなり背中に重みを感じた。
「____ちょっと待って、今日の分」
そう言って後ろから抱きしめる彼。
私も決して抱きしめ返したりはしないが、彼にこうして抱きしめられるのが悪い気はしない。
ふわっと香るアスターの香を浴びながら、体温に包まれる時間も悪くないかな。
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虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 菜々志さん» 菜々志さん ありがとうございます嬉しいです;; (2022年2月19日 11時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
菜々志(プロフ) - 高評価をもっと押させてくれぇぇぇ!!!ww (2022年2月19日 8時) (レス) @page7 id: ec6dd9f0aa (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん コメントありがとうございます! そう言っていただけて本当に作者冥利に尽きます……(T T) 体調にも気を配りながらこれからも更新頑張ります! (2022年1月15日 15時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - こんなに面白いと思った作品は初めてです…!体調にお気を付けて、そして更新も無理せず頑張ってください! (2022年1月15日 12時) (レス) @page50 id: 7687e77697 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡糖さん» コメントありがとうございます!わたし的に小説を書いていていちばん嬉しいお言葉、本当にありがとうございます…(泣 ) 最近寒いですもんね、体調に気をつけながら更新頑張ります!泡糖さんも体調を崩されませんようにお過ごしください✨ (2021年12月30日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作成日時:2021年11月24日 21時