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指でカギを回しながらそう聞いてきた。
もちろん、と思ったが よくよく考えてみれば 大きい用具があったりでもしたらふたりがかりじゃ到底運べないだろう。
さすがに物置の中にあるものを今更使う、なんてこともないだろうし。
「そうですね、ですが少し心配で。なにか運ぶ必要のあるものがあればふたりじゃ運べませんし」
「そう?俺こう見えて意外と力持ちだよ?」
ふん、と力こぶを目立たせるようなポーズをとり、得意げな顔をしているななもり様。
お茶目で可愛い。
ここで断れば彼の力持ち説も否定することになる。それはあまりにも本人に申し訳ない。それに私もあのアホ毛が しゅん…… となるところを見たくない という私情も挟まっているのだが。
「では見てみましょうか」
ななもり様から手渡されたカギを差し込み、回す。
カギの部分は錆びていなかったようで、カチャリ という軽快な音と共に扉が開いた。
ビクビクしながら中を覗くと、意外にも整然としていた。
「……意外と普通の物置だったね」
「そうですね……」
謎の裏切られた感。
中にはパイプやトンカチ、ドライバーなど工事でもするのかというような内容。
「……これはなんでしょうか」
ふと目に飛び込んできたのは、また謎な 缶らしきものが。
お菓子の缶のようなそれは中々に大きくて、人の顔くらいはありそうだった。
「とりあえず見てみたら?」
ななもり様が見守る中 缶に手を伸ばす。
パイプの山から慎重に引き抜くと それはとても軽く、中に物が入っているとは思えない。
「これ、思ったより軽……っあ」
カラカラと缶を振っていると、後ろから音が。
振り返ると パイプが私の方をめがけて倒れてきていた。
物置を出ようと思ったが間に合わない。
もう終わりだ、そう思い目をぎゅっと瞑る。
大丈夫、私は頑丈だから____
自分に言い聞かせるように、さらに目を固く瞑る。
来たる痛みに耐えようと待っていると、その痛みは一向に訪れる気配がなかった。
____すると、ガシャン!という音と「った……」とななもり様の声が。
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虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 菜々志さん» 菜々志さん ありがとうございます嬉しいです;; (2022年2月19日 11時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
菜々志(プロフ) - 高評価をもっと押させてくれぇぇぇ!!!ww (2022年2月19日 8時) (レス) @page7 id: ec6dd9f0aa (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん コメントありがとうございます! そう言っていただけて本当に作者冥利に尽きます……(T T) 体調にも気を配りながらこれからも更新頑張ります! (2022年1月15日 15時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - こんなに面白いと思った作品は初めてです…!体調にお気を付けて、そして更新も無理せず頑張ってください! (2022年1月15日 12時) (レス) @page50 id: 7687e77697 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡糖さん» コメントありがとうございます!わたし的に小説を書いていていちばん嬉しいお言葉、本当にありがとうございます…(泣 ) 最近寒いですもんね、体調に気をつけながら更新頑張ります!泡糖さんも体調を崩されませんようにお過ごしください✨ (2021年12月30日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作成日時:2021年11月24日 21時