毎日可愛くなっていく君。【黄】

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｢そ、そうなんだ｣

なんで。せっかく気づけたのに。

どうしてこうも 神様は残酷なんだ。

ショックによって気を失いそうな僕を気にせず、君は話を続けた。


｢その人のために可愛くなろうって思って、たくさん努力して｣

____違った。すべて違った。

違うんだ。なにもかも。君が可愛く見えたのは、恋の魔法なんて適当なものでもなく 君自身の努力の賜物だった。

もうこれ以上話を聞くのは無理だ。

勘違いとショックとでどうにかなりそうになる。

でも君は 追い打ちと言わんばかりに、

｢告白とかそういうのじゃないんですけど、毎日楽しくて。その人のために頑張っているのが本当に幸せなんです｣

｢へぇ、そうなんだ｣

心臓はずっとドキドキしているし、冷や汗も止まらない。

____不覚にも、君は今がいちばん可愛いと思った。


｢あ、それで本題なんですが……ここからどうすればいいのかわからないんですよ。私は好きな人のために可愛くなろうと努力して、そこからどうしようっていう｣

｢僕が答えられる質問じゃないと思うんだけど……まぁいいや、とりあえず『私、可愛いですか？』って聞いてみたら手っ取り早いんじゃないかな｣

自分でもひどいと思うくらい 投げやりな回答だった。

いくらなんでもそれはないだろう、それができれば誰も恋に悩まないじゃん！と自分でツッコミをいれつつ、彼女には申し訳なくなる。


｢そうですね、ありがとうございます。今度試してみようと思います｣

ありえないくらい適当なことを言ってしまった僕に、華やいだ笑顔を見せてくれる君。

そういうところも全部可愛いし大好きだ。

____この気持ちが実ることはないんだろうなと思っていても、可愛い君から目が離せない。

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