検索窓
今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:12,042 hit

Day.3 ページ3

3日目。



「るぅとくん……」

「なに、りいぬ」

「くっ、俺から言えることはない。自分で気付け……」


お昼休み、僕の親友である りいぬ にあの謎を相談したが、帰ってきたのは先ほどの答えのみだ。

なぜ彼女は毎日可愛くなっているのか。

りいぬは真相を知っていそうだが、それを僕に教えてくれる気はないらしい。


「……りいぬのケチ」

「はぁ、なんで俺がケチとか言われなきゃいけないわけ?」


やれやれ といった様子で頭に手を置かれる。

僕より身長ちっちゃいクセに。

今、僕の目にはかなり親友が憎たらしく映る。ケチでチビなりいぬ、許さない くらいには。


「じゃあその子に聞いてみたらいいじゃん、『どうしてそんなに可愛いんですか』って」

「なっ、聞けないよ……!変なやつって思われる」

そもそも仲のいい友達というわけでもないんだし、急に「可愛いね」とか言ったら嫌われてしまうだろう。

それだけは避けなくてはならない。


「……それが答えなのに」

「え、りいぬなにか言った?」


「____あ、りいぬくんとるぅとくんだ」


ボソッと りいぬがなにか呟いたのを聞き逃し、それを問おうとすると 僕が恋焦がれている人の声が聞こえた。


「Aごめんねー、席借りてた」

ニコニコしながら言うりいぬ。

……ちょっぴり嫌な予感はしたんだ。

りいぬには 彼女の名前は伏せている。

もしふたりが想いあっていたのなら、と最悪の想像をしてしまう。


「ん、私もうちょっと友達と話すから大丈夫。るぅとくん、りいぬくんをよろしくね」

「あ、うん……」

立ち上がろうとするりいぬに 「大丈夫」と手を振り、僕にりいぬを託した彼女。

僕は気の抜けた返事しかできず、一瞬にして後悔の念が押し寄せる。


「りいぬ、Aさんとはどういう関係なの?」

「……あー、やっぱりるぅとくんが言ってるのってAのことなんだ」

つとめて明るく聞いたつもりが、僕の剣呑な雰囲気を感じ取ったのか 隣に座る彼は頬をかいていた。

「俺とAは同じ中学で仲良かったんだよね。お互い恋愛感情はないと思うから安心して」

「そうなんだ……」


「恋愛感情はない」という言葉に、ホッと胸をなでおろす。

____いや、なんでホッとしているんだ。

それにホッとするなんて、まるで____、


「お、悩んでますねぇ。じゃ、俺みたいな邪魔者はどっか行くね」

自身のまったくわからない感情に悶々としているまま、休み時間の終わりを告げるチャイムがなった。

Day.4→←Day.2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (70 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
92人がお気に入り
設定タグ:すとぷり , るぅと
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぴーち - とってもおもしろかったです!アイさんの作品全部見てきます(`・ω・´)ゞ (2022年6月5日 6時) (レス) @page10 id: 2e0541f151 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます;; これからも頑張ります!💪🏻 (2022年5月11日 13時) (レス) id: 4c9053914b (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 完結おめでとうございます!すごく面白かったです。更新お疲れ様でした、これからも頑張ってください! (2022年5月11日 9時) (レス) @page10 id: d497566181 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - レノノアさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!🥲💕 (2022年4月29日 18時) (レス) id: 4c9053914b (このIDを非表示/違反報告)
レノノア - 続きが楽しみです!これからも頑張ってください!更新を待ってます! (2022年4月29日 18時) (レス) @page1 id: bdc08c7998 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年4月27日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。