Day.3 ページ3
3日目。
「るぅとくん……」
「なに、りいぬ」
「くっ、俺から言えることはない。自分で気付け……」
お昼休み、僕の親友である りいぬ にあの謎を相談したが、帰ってきたのは先ほどの答えのみだ。
なぜ彼女は毎日可愛くなっているのか。
りいぬは真相を知っていそうだが、それを僕に教えてくれる気はないらしい。
「……りいぬのケチ」
「はぁ、なんで俺がケチとか言われなきゃいけないわけ?」
やれやれ といった様子で頭に手を置かれる。
僕より身長ちっちゃいクセに。
今、僕の目にはかなり親友が憎たらしく映る。ケチでチビなりいぬ、許さない くらいには。
「じゃあその子に聞いてみたらいいじゃん、『どうしてそんなに可愛いんですか』って」
「なっ、聞けないよ……!変なやつって思われる」
そもそも仲のいい友達というわけでもないんだし、急に「可愛いね」とか言ったら嫌われてしまうだろう。
それだけは避けなくてはならない。
「……それが答えなのに」
「え、りいぬなにか言った?」
「____あ、りいぬくんとるぅとくんだ」
ボソッと りいぬがなにか呟いたのを聞き逃し、それを問おうとすると 僕が恋焦がれている人の声が聞こえた。
「Aごめんねー、席借りてた」
ニコニコしながら言うりいぬ。
……ちょっぴり嫌な予感はしたんだ。
りいぬには 彼女の名前は伏せている。
もしふたりが想いあっていたのなら、と最悪の想像をしてしまう。
「ん、私もうちょっと友達と話すから大丈夫。るぅとくん、りいぬくんをよろしくね」
「あ、うん……」
立ち上がろうとするりいぬに 「大丈夫」と手を振り、僕にりいぬを託した彼女。
僕は気の抜けた返事しかできず、一瞬にして後悔の念が押し寄せる。
「りいぬ、Aさんとはどういう関係なの?」
「……あー、やっぱりるぅとくんが言ってるのってAのことなんだ」
つとめて明るく聞いたつもりが、僕の剣呑な雰囲気を感じ取ったのか 隣に座る彼は頬をかいていた。
「俺とAは同じ中学で仲良かったんだよね。お互い恋愛感情はないと思うから安心して」
「そうなんだ……」
「恋愛感情はない」という言葉に、ホッと胸をなでおろす。
____いや、なんでホッとしているんだ。
それにホッとするなんて、まるで____、
「お、悩んでますねぇ。じゃ、俺みたいな邪魔者はどっか行くね」
自身のまったくわからない感情に悶々としているまま、休み時間の終わりを告げるチャイムがなった。
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ぴーち - とってもおもしろかったです!アイさんの作品全部見てきます(`・ω・´)ゞ (2022年6月5日 6時) (レス) @page10 id: 2e0541f151 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます;; これからも頑張ります!💪🏻 (2022年5月11日 13時) (レス) id: 4c9053914b (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 完結おめでとうございます!すごく面白かったです。更新お疲れ様でした、これからも頑張ってください! (2022年5月11日 9時) (レス) @page10 id: d497566181 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - レノノアさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!🥲💕 (2022年4月29日 18時) (レス) id: 4c9053914b (このIDを非表示/違反報告)
レノノア - 続きが楽しみです!これからも頑張ってください!更新を待ってます! (2022年4月29日 18時) (レス) @page1 id: bdc08c7998 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作者ホームページ:なし
作成日時:2022年4月27日 21時