甘々な避難場所。３【短編集】

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｢____ほんとありえないの！マジで消えてほしい｣


｢それはわかるわ。大丈夫、あたしは静葉の味方だから｣


｢えーありがとう、Aいい加減生徒会やめてくれないかな。るぅとくんに近寄らないでほしい。気持ち悪いから。まぁどうせ私が本命だけどね。これが本カノの余裕かな？｣

｢うわー、静葉そういうところあるよね｣



静かな廊下に 笑みを含んだひそひそ話が響き渡る。

その発生源は空き教室だろうか。聞き覚えのある声と、そうでない声が話している。


その言葉は静かなものなのに、ナイフみたいに私の心に突き刺さった。


____時は放課後。悪口大会にはもってこいの時間と場所だった。


だけれど、会長の前だ。会長は 綺麗で外面はいい望月さんのことを好きだろうし、ここで下手に泣いたりでもしたら反感を買いかねない。


……結局こうなるのか。望月さんに好かれていると思うほど自惚れてはいないが、ここまで嫌われているとは。

一抹の悲しさを抑えつつ、会長を____好きな人を、不安にさせないように笑顔を作った。



｢会長、今のは聞かなかったことにしましょ、今後の生徒会のためにも。望月さんを呼んできてもらってもいいですか？｣



『消えてほしい』『気持ち悪いから』

会長を見ると、その言葉がフラッシュバックするから、一歩下がって距離をとる。



｢聞かなかったこと、に？｣


｢ギスギスするのも嫌ですし、そうしてくれると嬉しいです｣


｢____そうですか。僕はAさんに失望しました｣





私の要望をありのままに伝えたら、耳を疑うような言葉が彼から飛び出した。




｢なんなんですか。自分の気持ちを蔑ろにして……そうしてくれると嬉しい？ ふざけないでください。あなたは、Aさんはなにも悪くないんです。少し前の僕を見ているみたいでイライラします｣


｢ぇ、あ、会長……？｣


｢いいですか？ 望月さんは人として終わっているんです。僕のことを好きだろうが見た目が綺麗だろうが関係ない。僕は内面重視なんですよね｣




憤慨した様子で私に語りかける会長だが、その芯は本気で私のことを案じているものだった。

"人として終わっている"その一言でどれほど救われたか。


……やっぱり、こういうところ好きだなぁ。

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