彼女と8対2 ページ31
今日のAさんはいつもと少し違う。
何故なら、今彼女のいる場所は、
8対2のゲームの待合室だ。
いつもなら絶対に参加しない彼女だが、何故か今日は誘いに応じた。
一体彼女に何があったのだろう。
2つ隣に座る彼女は、いつも4人のゲームに出る時とは少し違って不安げに見えた。
僕はまだ彼女が何故8対2出ないのか知らない。
だから、今彼女が何を考え不安でいるのかもわからない。
…だけど、どうにか元気づけたくて、僕は席を立った。
そして彼女の元に行き、そっと声をかけた。
「…髪、結いましょうか?」
彼女は少し考えた後、ゆっくり頷いた。
ここの皆さんはお喋りが大好きな人達が多い。
だから今も僕らに視線を向ける人はいない。
「はい…出来ました」
彼女が何か言おうと口を開いた時、ゲームが始まる合図がした。
彼女は何を僕に伝えようとしたのだろう。
・
・
・
「………遊園地…か」
目が覚めると、派手な色の建物が目についた。
遊園地。
僕がゲームのマップで1番苦手な場所。
派手な色づきをしていて、賑やかな音楽が流れ、
いかにも人々が集まり楽しむような場所。
その様子を考えるだけで、ここにいるのが嫌になりそうだ。
あまり余計なことは考えないようにしようと、頭を振り、近くの暗号機のもとへ走る。
近づくと、カチカチと機械音が聞こえた。
どうやら先客がいるようだ。
「あら、イソップくん」
エミリーさんだ。
僕の方を見てにこりと微笑むが、解読をする手は動かしたままだ。
僕は少し触れて、何処か違う場所に行こうとした。
だが
「行かない方がいいわ。
さっき、ハンターを…リッパーを見たわ。
今も私たちを探しているか、誰かを追い回してる。
あまりむやみに動くと見つかってしまうわ。」
エミリーさんの忠告により、僕はここで解読することにした。
「ぁ…ありがとう、ございます」
「いいえ。
…ふふ。Aがあの髪型気に入ってたわよ。」
エミリーさんの言葉に、僕の胸が騒ぎ出す。
さっき、彼女に触れた手が熱くなった。
198人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - あいのすけさん» とても面白かったです( ≧∀≦)ノ神作でした!!本当にとても面白かったです! (2020年7月2日 8時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
ポカりんご - アッイソップ君…好き…。 (2020年1月26日 1時) (レス) id: 54880d9a97 (このIDを非表示/違反報告)
あいのすけ(プロフ) - カステラ女王さん» わわっ!カステラ女王さん!また読んで下さったんですね!ありがとうございます!!もー、本当に嬉しいことを言ってくれますね(TT)そんな事言われると、次も張り切っちゃいます!笑 (2019年2月10日 22時) (レス) id: 2b26940a19 (このIDを非表示/違反報告)
カステラ女王(プロフ) - めっちゃ良かったです!!もうこの小説を読んでもっと納棺師の事を愛するようになりました!!あいのすけさん小説の神です!!(º∀º*) (2019年2月10日 19時) (レス) id: 6273742d9e (このIDを非表示/違反報告)
あいのすけ(プロフ) - アルトさん» ええっ。そんなそんな…。そう言ってもらえて凄く嬉しいです!ありがとうございます! (2019年2月6日 15時) (レス) id: 2b26940a19 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あいのすけ | 作成日時:2019年2月2日 10時