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「蓋を開けて触ることも出来ますよ。」
『…大丈夫です。』
NICUと書かれた部屋の中にチビはおった。
透明な箱の中に入れられて、窓越しには小さな手足がときどき動くのとふやけた顔が見える。
「お産に時間がかかったので少し疲れてしまったみたいで、しばらくこのお部屋で様子を見させてもらいます。」
『あぁ、はい。』
「なんでも聞きたいことなどありましたら遠慮なく仰ってくださいね。」
『…あ、あの。」
「はい？」
『赤ん坊が産まれるとき、あなたはそばにいはったんですか？』
「…はい、手術室に入っておりました。」
『Aは…こいつのおかんは、あの子を抱くことはできましたか？』
「…ええ。
とても嬉しそうに可愛いとおっしゃいましたよ。」
『…それしか伝えられへんかったんですね。』
伝えたいって言ってたやろ。
愛してるって。
うちの光やって。
生まれてきてくれてありがとうなんて、めちゃくちゃベタなことさえも伝えられへんかったん？
なんでやねん。
『…チビだけ残さんでも…っ。』
可哀想なチビ。
可哀想なA。
どうして2人は今別々の場所におるんやろ。
おばちゃん看護師がゆっくり頭を下げて足音もたてずに静かに消えた。
俺はたぶん、静かに泣いた。
無数の小さな命を繋いでいるであろうピコピコシューシューいう機械音。
飲み込まれそうになって何とか踏ん張る。
けど耐えられんくなって、俺はフラフラしながら部屋を出た。
振り返ることは、もうできひんかった。
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凛(プロフ) - 更新ありがとうございます (2020年6月7日 15時) (
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みぉ(プロフ) - みけねこさん» コメントいつもありがとうございます！よろしくお願いいたします！ (2020年6月3日 11時) (レス) id: 5ac68e315d (このIDを非表示/違反報告)
みぉ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます！よろしくお願い致します！ (2020年6月3日 11時) (レス) id: 5ac68e315d (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ(プロフ) - お話、ありがとうございます！私も更新を楽しみに待ってます。 (2020年6月3日 5時) (レス) id: 177d327f15 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - スピンオフ待っましたよ。更新楽しみにしてます。 (2020年6月3日 0時) (レス) id: fb6d980ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みぉ | 作成日時：2020年6月2日 23時
