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『…相手は？』
「…別れてから妊娠が分かったの。」
深いことは聞かん。
避けきれんこともあるのは、まあ、しゃあない。
もうAやってガキちゃうし相手とも話し合った結果なんやろうから。
それに過去の話するならこれからの話をした方がよっぽど現実的やろ。
『産めへん理由は？あんねやろ。』
「………。」
俺器用ちゃうしもう直球で聞くしかない。
オブラートに包んでる暇無いしな。
正直、俺が納得するような理由があって欲しい。
半ば縋るような気持ちで聞いていた。
『…何がそうさせんの？』
「あたし…。」
ボロボロって大きな目から大きな涙が溢れて、苦しくて悲しい、助けてって顔がクシャクシャに歪む。
ガラスのコップ割れるんちゃうかってほど、握りしめるAの両手には力が込められている。
「…お母さんみたい1人でこの子育てられへん。
お母さんはあたしのためにずっとずっと仕事ばっかり。
しんどくてもあたしのためだけに…
あたしはこの子のためにそんなに一生懸命できひん。お金だってそんなにないしあたしが産んでもこの子は…。」
『んなわけあるか。』
「え？」
『いけるやろ。』
「そんなっ！簡単に言わんといてよ！
ひとり親が子ども育てる大変さあたしは1番近くで見てきたから分かるの！」
『おん。』
「産むって親のエゴなんだよ。」
『お前は大丈夫や。』
「無責任なこと言わんとってよ！」
『確かに無責任やな。』
「そうだよ、無責任だよ。」
『俺はお前が人の親に向いとらんって考える方が難しい。』
「え…？」
『具体的な理由とか、上手く言われへんけどな。』
「………。」
『俺の直感。』
自分でも何言うてんねんってくらいめちゃくちゃ無責任。
けどこいつ優しいやつやねん。
東京に越したとき上手く馴染めずにクラスの連中に虐められても、おばちゃんや俺に心配かけへんようにって誰にも一言も話さんかった。
やっと気づいたおばちゃんが泣きながら、妙子に電話してきたことがあったらしい。
慣れへん東京で小さい体で家事をしてひとりぼっちで飯食って。
電話越しのAはすぅ兄東京も楽しいなぁって笑ってた、いつも。
高校生になって遊びたい時期にもおばちゃんのためにって家のこととバイトばっかりして。
大切な人の為なら平気で自分を犠牲にできるやつ。
おばちゃんに、そっくりな、ええ子やねん。
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凛(プロフ) - 更新ありがとうございます (2020年6月7日 15時) (
レス) id: fb6d980ce6 (このIDを非表示/違反報告)
みぉ(プロフ) - みけねこさん» コメントいつもありがとうございます！よろしくお願いいたします！ (2020年6月3日 11時) (レス) id: 5ac68e315d (このIDを非表示/違反報告)
みぉ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます！よろしくお願い致します！ (2020年6月3日 11時) (レス) id: 5ac68e315d (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ(プロフ) - お話、ありがとうございます！私も更新を楽しみに待ってます。 (2020年6月3日 5時) (レス) id: 177d327f15 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - スピンオフ待っましたよ。更新楽しみにしてます。 (2020年6月3日 0時) (レス) id: fb6d980ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みぉ | 作成日時：2020年6月2日 23時
