Answer__(blk・grn) (ページ15)

今日:13 hit、昨日:1 hit、合計:15,556 hit

▼ ページ15

・

・

俺の部はどうやらその話で朝から持ちきりやったらしい。

仕事に夢中で乗り遅れてただけやん。

別に俺だけハブられてるわけちゃうからな。

…というか、俺が知らんのになんで他部署のヒナは知っとんねん。

まぁ、あいついろんなところで愛想大サービスしてるからきっとその情報網やろな。

村「出社したとき部長がいつも自慢しとった愛妻弁当持ってこおへんかったんやって。」

赤い弁当袋もっていつも出社してくる部長。

来年定年を迎える歳で特別冴えてるわけちゃうけど

1つの部を抱えてるわけやからそりゃあ器量は良くて俺も何度も助けられた。

俺の母ちゃんの飯が一番。

って言うて、食堂の端の席でいつも美味そうに愛妻弁当食ってた。

村「気づいたやつが話聞いたら奥さん家を出て行ったから弁当ないって。

…離婚の話がでてるんやと。」

『はぁ！？

あんなに仲良さそうやったやん！』

渋「ちょおうるさい。」

『あ、すまん。』

村「俺やって詳しいことはわからんよ？

でもまぁ熟年離婚ってやつ最近多いもんなぁ。

当事者同士しかわからへん何かしらの溝が出来てもうてたんやろ。」

『夫婦ってそんなもんなん？』

渋「…当事者同士でもわからんうちに溝が出来てたんかもな。

男と女って夫婦でも恋人でもそんなもんやろ。

霧んなかの関係やで。」

あんなに奥さんのお弁当

大事そうに食ってたのに。

溝に気づいたときにはもう遅くて

部長もあっという間に足をとられたんやろか。

見えてるようで、なんにも見えてへん。

男と女は

霧の中の、関係。

村「今日は語るなぁすばる。」

渋「筑前煮食ったから調子ええわ。」

『………。』

渋「…せやからお前も気ぃつけろ言うとんねんヨコ。

相手の愛情を過信したらアカンねん。」

『…わかってる。』

渋「俺の味噌汁もやるからな。

頑張れよ。」

村「シイタケ入ってるからやろ。」

渋「いらん言うたのにおばちゃんお残しは許しません！言うて押し付けてきてん。

どこぞの忍者学校やねん。」

豪快に笑ってカレーうどんすする同僚と

ご馳走さんって手を合わせる同僚の前で

俺は顔を上げることが出来んかった。

あまりにも、似ている。

俺と、部長は。

・