Answer__(blk・grn) (ページ1)

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「…じゃあ、そろそろ。」

『もうちょいだけ。

…アカン？』

白い腕を掴んで引き寄せ

細い腰を抱きしめる。

上目遣いとかすれた声で、君に絡みつく。

自分の魅せ方が分かるとまでは言わんけど

君のツボは知ってるつもり。

「…忠義くんは甘えんぼだな。」

仕方ないなって大人な顔をしながら

俺の背中を擦るのは

小さな小さな、ちょっと冷たい手のひら。

『あと少しこうしとって。』

甘えんぼなんて

そんな可愛いもんちゃうねん。

君のこと

欲しくて欲しくて仕方なくて。

この小さな人を

誤った道へ連れて行ってしまった。

女々しくて

かっこ悪くて

惨めな男。

『…次、いつ？』

最低なことやって分かっとるけど

やっぱりこの人のことを、放せへん。

放したくない。

「…忠義くんのお仕事は？」

『いや…そっちの都合は？』

「…最近また忙しいみたいだから。」

『じゃあ土曜日。』

「…うん、分かった。

…じゃあ。」

人様の女とその浮気相手。

世間から見たら、俺らはそんな関係。

＿＿＿＿＿分かってて、想いを告げたあの日。

あの日から2人の関係は始まってしまった。

『またね。』

Aは俺の腕をすり抜けて

あっという間に俺の車を降りた。

人で溢れる駅の中へ消えていく

やっぱり小さい後ろ姿。

在るべき場所へ。

正しい場所へ。

君は帰る。

『…ただいま。』

空っぽの部屋に悲しく響く

玄関ドアが閉まる音。

その音とともに

俺のため息がこぼれ落ちた。

帰ってきた家で待つのは

さっきまでここにおったAの香りだけ。

男の部屋には似合わん

甘くて優しい香り。

俺はそれを抱いて眠りにつく。

満たされたようで

全く満たされてへん身体のまま。

…またね、なんて

なんの約束にもならんわ。

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