何事かと... ページ32
弟者 side
ある夜。
『やぁあああああ！！』
悲鳴が家中に響き渡った。
リビングでゲームをしていた俺は思わずドアを振り返る。ダイニングテーブルでスマホを弄りながらコーヒーを飲んでいた兄者と目が合う。
兄｢何今の｣
弟｢わっかんない...｣
2人して首を傾げているとバターン！！と勢いよく扉が開き、暗闇の向こうからAが出てきた。
『なんか知らん人居った！！』
その言葉に思わず身構える俺たち。
今まで家に変な奴に入られたことはないが、こういう世界にいるとそういう輩がいても何もおかしくはない。
兄｢A、どんな奴だった｣
『な、なんか髪の毛が肩くらいまであって身長がおついちさんくらいの...く、暗いところで見たので曖昧ですけど』
兄｢そいつどこで見た？｣
『浴室です』
兄者の後ろに隠れながら答えるA。
この間ゲームした時に声出さないでびっくりしてたから悲鳴とか出さないんだと思ってたけど、そんなに怖かったのかな。
弟｢俺様子見てくる｣
兄｢頼む｣
兄者と短い会話を交わし、暗い廊下に一歩踏み出そうとした、その時。
ひたひたと歩く音とともに一人の人物が姿を現した。
『この人です！』
Aが叫ぶ。
...この人...？
兄｢いやおっつんだろ｣
『...え？』
弟｢...おついちさんだね｣
リビングに入ってきたのはおついちさん。
風呂上がりなのか半乾きの頭にタオルをかけている。
お｢あーびっくりした。Aちゃん急に脱衣所入ってきて叫んで出てっちゃうんだもん。何事かと思ったわ｣
『だ、だって真っ暗なとこにいたからっ...！』
お｢そーなのよー。あそこの電球切れちゃってね、交換してたとこだったのよ。洗面台のもちょうど切れちゃうし...怖かったぁ｣
けろっとしているおついちさん。
あーうん...これはAを擁護できないかな...。
弟｢A...おついちさんの風呂上がり見るの初めてなんじゃない？｣
『あ、そうです』
弟｢だからだね...髪の毛下ろしてるの見覚えないからびっくりしたんだよ｣
兄｢...え、なに、じゃあマジでおっつんにビビったってこと？｣
『...そうなりますかね？』
申し訳なさそうに首を傾げるA。兄者は額押さえちゃってるしおついちさんは｢確かに真っ暗なとこにいたら怖いか〜｣なんて呑気に笑っている。
...なにこの状況。
俺普段ボケ役だと思うんだけど。
ちょっと誰か助けて(泣)
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作者名：Alice:A | 作成日時：2019年7月24日 0時
