ボロボロになって ページ15
兄者 side
嵌められた。
返り討ちにしてやろうと思った。
だから“狐”と手を組んだ。
一時休戦ってことで。
...ってはずだったんだけど。
兄｢ってぇ...｣
何故か“狐”が倒れ込む直前、身体を張って受け止めていた。
なんでスライディングしてまで受け止めちゃうかな俺？
お｢兄者！｣
おっつんと弟者がこっちに来る。
弟者は立っているのも精一杯なようで、おっつんに肩を貸してもらっている。
兄｢お前大丈夫か｣
弟｢なん、とか...｣
はは...と笑っているが身体中血だらけだしふらふらしてるし珍しく重症な様子。おっつんも服があちこち切れていたり汚れていたりするが弟者程ではない。
お｢それよりびっくりしたんだけど！兄者くんこそ大丈夫なのそれ？｣
兄｢反射的に動いてしまったー...もう1歩も動けん｣
お｢だめじゃん、帰れないじゃん(笑)...どうすんの？その子。
女の子だよね？｣
兄｢...やっぱり？なんか、あの、全体的にちょっと感触が柔らかいんだよね...(笑)｣
お｢おい変態がいるぞ！｣
...にしてもほんとにどうしたらいいんだ。
今日は一応敵同士ってことで戦ってたけど今は一時休戦してるし...気失うくらいめっちゃ怪我してるし...。
しかもいくら名の知れた暗殺者って言っても女だろ？目覚めるまでここに捨て置いていくのか？いや仮に男だったとしても死体の海に放置していくのはちょっとモラル的な問題が。
兄｢...おっつん｣
お｢うん、そうだね。さすがに連れて帰るしかないだろうね｣
兄｢だよなー...んっ、と...じゃあ俺こいつ運ぶわ。おっつん弟者頼む｣
お｢はいよー。弟者、もうちょい頑張れる？｣
弟｢ん、だいじょぶ...｣
重い身体を起こし“狐”を抱き抱えると、俺たちは廃工場を後にした。
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作者名：Alice:A | 作成日時：2019年7月24日 0時
