狐について ページ5
No side
“狐”____
それは、殺し屋や暗殺者など裏社会に身を置いている者はまぁ大体皆知っているという(噂の)、狐の面をつけた1人の暗殺者のことである。
顔は疎か名前すらもはっきりしておらず、“狐”という呼び名も特異なその見た目から自然とそう呼ばれるようになっただけである。
男か女かも定かではなく、「長身の髪の長い女だった」「目にも止まらぬ速さで動く俊足の男だった」などという根も葉もない噂だけが独り歩きしている状態である。
だが実際、ハッキングの腕前、狙撃のスキル、近接戦闘と、どれをとっても中々のレベルであることは間違いないようだ。
組織などには所属しておらずあくまで単独で動いているらしいが、特に接点も無さそうな組織や人間を次々と潰していっていることから「傭兵的な感じで転々と所属先を変えているんじゃないか」「金さえ積めば誰でも殺す感情のない殺人兵器では」など一部では囁かれていたりする。
暗殺者としての面はもちろん、その他の素性も一切知る者はいない。
お「って感じらしいよ」
兄「なるほど。で、今回そいつが居たと」
お「そう」
その日の仕事を無事に終えて帰ってきた兄弟に、おついちは自身で調べあげた情報を交え説明も兼ねて報告する。
彼らもまた、狐と同じように裏社会で活躍する殺し屋だったが、未だ狐と相対したことはなかった。
弟者ががっくりと肩を落とす。
弟「えー、そんなすごい人が居たなんて...戦ってみたかったなぁ」
お「あなたほぼ1人で約50人のヤクザ倒したんだから満足でしょ」
弟「違うよおついちさん、死ぬかもしれないって危機感が大事なんだよ」
お「...要は弟者とタイマン張れて力も遜色ないような奴が相手じゃなきゃつまんないってことね」
弟「なんだ、分かってんじゃん!笑」
あははと笑う弟者に、これだから脳筋は...と頭を抱えるおついち。
そんな2人を余所に腕組みしたまま何かを考えている様子の兄者。
お「兄者くん?どしたの?」
兄「んー...面白くなりそうだなって」
お「何よ、面白そうって?なんか企んでんじゃないでしょうね?」
おついちのジトリとした視線もへら〜っと受け流し、兄者は不敵に笑った。
兄「いやなに、俺たち“team 2BRO.”も負けちゃいねぇぜって思って、な」
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作者名:Alice:A | 作成日時:2019年7月24日 0時