外伝 ページ43
街を歩く女性 __ 白衣を着て 、長い髪をひとつに結った女性だ __ を見て街の人々はわあっと驚きの声をあげる 。
「 何故に死神様が此処に！？ 」
「 ついこの間、幹部へと昇進したばかりの方だよな ……？ 」
そんな声を耳にしつつ、彼女は心の中で思う 。
＿＿＿ 幹部に成り上がっただけで此処まで街に来ることが異質だと捉えられるとは 。
彼女の名はA。これは、彼女がまだ幹部へと昇進したばかりの頃の物語である。
＿＿＿
「 やあ、おばさん。久しいね。 」
「 おや、Aちゃんじゃあないか！元気にしているかい？徴兵に志願してからと言うもの、顔もろくに見せなかったじゃないか。 」
「 すまないね、中々暇がなくて。元気にしているよ。おばさんはどうだい？ 」
医者である彼女が街で一番最初に顔を出すのは薬屋である。
長年この薬屋には世話になっているのだが、勿論薬屋を営むおばさんとは顔馴染みだ。彼女はよくAを可愛がっており、時々おまけをしてくれる優しい人なのだ。
「 私も元気さ。いやあ、だけどね。最近腰がどうも痛くて。どうにかならないかい？ 」
「 腰の痛みなら、それに合う薬を明日にでも持ってくるよ。どのような痛みなのかを詳しく教えて貰っても良いかい？ 」
「 ああ、頼むよ。痛みは ＿＿＿ 」
そのように話していれば時間もはやく過ぎていくもので。
そのようにして過ごす彼女は、街に住む住民たちにとても親切であり、時々無償で怪我や病の具合を診たりもしている。
「 それじゃあ、また明日ね。おばさん。 」
「 ああ。待っているよ、Aちゃん。 」
ひらり、と手を振って軍医である彼女は薬屋を後にする。
街の人々との交流。
勿論それは幹部になる前から行っていることなのだが、幹部へとなれば尚更顔を知られることが増えたのだから彼女としては些か不満ではある。
「 何故幹部様が街に！！？ 」
「 … 私がどこに足を運ぼうと自由じゃあないか。 」
その通りである。
街の人々には聞こえないような小さな声で呟かれた言葉はどこか拗ねたような声色で語られる。
膨れる彼女は、どこか幼い顔つきをしているのだった 。
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味噌(プロフ) - はるまきさん» コメントありがとうございます。前作から見ていただけているということでとても光栄に思っております。今後も更新を頑張って参ります故、是非御期待下さいませ。 (2022年1月12日 22時) (
レス) @page48 id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
はるまき - 主様の前の作品のシリーズ面白くて何回も読み返してたんですけど、今回この話を読んで面白いなと思い作者を確認してみたら主様で驚きました。今後ともたのしみにしてます！ (2022年1月12日 0時) (レス) @page10 id: 3f953aa5db (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - シュネーさん» コメントありがとうございます。前編の方、御付き合いをありがとうございました。後編でも御期待に添えられるように頑張ります。今後も是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。面白い、と言って頂けると私としてもとても嬉しく思います。今後も頑張って参りますので是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
シュネー - これで前編……だと……！？後編も楽しみに読みます！！待ってます！！ (2022年1月8日 19時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味噌 | 作成日時：2022年1月1日 13時
