彼女 ページ35
「 …… すまない 、落ち着いたよ。 」
彼女はそう言えば、ゆっくり身体を起こしてから子供たちを見てへらりと笑った。
顔色はあまり良くはない。彼女は子供達にリビングに場所を移すように促す。
子供達の移動と共に彼女も立とうとするのだが、まだ上手く立てないらしく、ふらりと体制を崩して近くの椅子に倒れ込む。
それを見たトントンが手を伸ばし、彼女に心配そうに声を掛ける。
「 …… せんせい、むりせんといて。おれにつかまってええから、 」
「 … すまないね、 」
次こそトントンの手を借りつつ立ち上がった彼女は、子供達に続いてリビングへと場所を移した。
「 …… で 、なんであんなこと __ 」
彼女をソファに座らせた後に、グルッペンが聞いた。
「 … 上からの指示だよ。私たちの国は軍事力が無くてね。…… 次にどこかの国と戦ったとして、負ける可能性が50%を上回るというデータが出たらしい。 」
彼女は少し困ったように続ける。
「 だから、少量で多くの人を殺戮できる兵器を作れと命令が来てね。しかし、実験体が来なかったんだ。普段ならマウスやら何やらを使うのだけれど、彼曰く“君の家には多くのモルモットが居るだろう”と。 」
子供達が目を見開く。
「 …… 君たちのことだよ。
「 … っ 、なんで 、 」
「 否、君たちに非は無いよ。彼は私が嫌いでね。私への嫌がらせさ。だから、君たちを巻き込もうとそんなことを言ったのだろう。 」
隣に座るトントンの額に触れ、そうしてするりと撫でつつ。
彼女は、どこか怒りを含んだ声で言った。
「 ＿＿＿ 私が君たちを巻き込むことなど、天地が逆さになること以上に無いことなのにね。 」
「 …… それで 、せんせいは 、 」
「 うん。君たちの思考どおりさ。“自分を実験体にした”。そこら辺に居るドブネズミと実験用のマウスでは全くと言っていいほど実験体への素質が違うからね。他に使える
彼女は傷だらけの腕を撫で、それからへらりと笑った。
「 解毒剤も作ってはいたが、何せ効く保証は無くてね。 」
彼女はへらへらと笑う。
誰もが無言な空間で、彼女だけが異質なように見えた。
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味噌(プロフ) - はるまきさん» コメントありがとうございます。前作から見ていただけているということでとても光栄に思っております。今後も更新を頑張って参ります故、是非御期待下さいませ。 (2022年1月12日 22時) (
レス) @page48 id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
はるまき - 主様の前の作品のシリーズ面白くて何回も読み返してたんですけど、今回この話を読んで面白いなと思い作者を確認してみたら主様で驚きました。今後ともたのしみにしてます！ (2022年1月12日 0時) (レス) @page10 id: 3f953aa5db (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - シュネーさん» コメントありがとうございます。前編の方、御付き合いをありがとうございました。後編でも御期待に添えられるように頑張ります。今後も是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。面白い、と言って頂けると私としてもとても嬉しく思います。今後も頑張って参りますので是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
シュネー - これで前編……だと……！？後編も楽しみに読みます！！待ってます！！ (2022年1月8日 19時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味噌 | 作成日時：2022年1月1日 13時
