激怒 ページ34
目の前に広がっていたのは、
床に倒れる彼女の姿と、辺りに散らばる注射器だった。
「 … っ 、なんや、これ、 」
彼女の身体には先程の話通り、多くの傷が見て取れる。
その傷の全てが刺し傷や注射痕なのだから、子供達は夢ではない現実に目を見開く他無いだろう。
彼女に掛けよれば、彼女の意識はあまりハッキリとはしていないようだった。
息が荒い。指先が痙攣している。そんな彼女に近寄り、彼女の体を揺らす。
「 せんせい！！！せんせい！ 」
「 … っ 、大丈夫 、少し休めば良くなるから 、 」
彼女の身体に触れたグルッペンは目を見開いた。
「 たいおんが … 、 」
彼女の身体は熱かった。
既視感を持つ。
そこで、グルッペンはようやく床に転がっている注射器へと目を向ける。
「 …… せんせい、まさか、 」
トントンやひとらんらんも気づいたようで、彼女を目を見開いたまま見詰めている。
「 ＿＿＿ どくを、からだにいれたのか ？ 」
「 … 大正解、だよ 。… すまないね 、解毒剤も打ったから 、暫く動かなければ治るはずだよ、 」
彼女のその言葉に、彼らは黙る他無かった。
何故？
何のために？
何をしたくて、彼女は自らの身体に毒などを。
子供達はそこで初めて、己の胸にふつふつと湧き上がる感情に気がついた。
悲しみ？嫌悪？憎悪？
どれにも当てはまらない。
これは、彼女に対する。
＿＿＿ 怒り。
「 っ、 」
「 ここは危険だ。取り敢えず 、皆は部屋から出て ＿＿＿ 、 」
「 でるわけないやろ！！！！！ 」
大声を出したのは、シャオロンだった。
「 あんたはなにがしたいんや！！なんでそうやってじぶんのこときずつけんねん！あんたのそういうところがだいっきらいやねん！！ ｣
「 ＿ … それは 、 」
「 … ほんまにそうですよ。あとでちゃんとはなしてもらいますからね、 」
シャオロンに続いたのはエーミールだ。
他の子供達も思ったことを口々に彼女に浴びせている。
でも、彼らは怒りと共にその目に涙を貯めているのだから。
それを見た彼女は少し驚いたような顔をしていたが、直ぐにそれを崩して微笑んだ。
「 … そう、だね。御免ね、説明もなしに。…… あと少し時間が経てば 、きっと身体は治るから 。だから、もう少しだけ待ってくれ 。 」
彼女のその言葉に子供達は頷くのだった。
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味噌(プロフ) - はるまきさん» コメントありがとうございます。前作から見ていただけているということでとても光栄に思っております。今後も更新を頑張って参ります故、是非御期待下さいませ。 (2022年1月12日 22時) (
レス) @page48 id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
はるまき - 主様の前の作品のシリーズ面白くて何回も読み返してたんですけど、今回この話を読んで面白いなと思い作者を確認してみたら主様で驚きました。今後ともたのしみにしてます！ (2022年1月12日 0時) (レス) @page10 id: 3f953aa5db (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - シュネーさん» コメントありがとうございます。前編の方、御付き合いをありがとうございました。後編でも御期待に添えられるように頑張ります。今後も是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。面白い、と言って頂けると私としてもとても嬉しく思います。今後も頑張って参りますので是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
シュネー - これで前編……だと……！？後編も楽しみに読みます！！待ってます！！ (2022年1月8日 19時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味噌 | 作成日時：2022年1月1日 13時
