作戦 ページ4
男の持っていた鍵で檻が開く。
中にいた十数名の少年たちは、その表情を恐怖に染めて彼女を見上げる。
「 大丈夫だ。安心しろ。 」
彼女は無意味だと理解しつつもそのように声をかける。
そうやって、彼女が彼らに手を差し出したときだった。
「 おい！どういうことだ！この袋に詰まっているのは金ではなくて石じゃねえか！ 」
男が大きな声で叫んだのだ。
びくり、と子供達がその身体を震わせる。
「 …… 君の頭は鳥以下のようだ。当たり前だろう？私はこの国の幹部だからね。こういう悪事を見逃して金だけ支払う、なんてする訳ないじゃないか。 」
「 貴様、ナメた真似を……！ 」
「 そういうの、聞き飽きてるから要らないわ。 」
彼女はニッコリと笑みを浮かべた後に、どこからが取り出したメスを男の首元にあてがった。
彼女の動きは素早かった。
そしてそれは、彼に__その周りにいる男たちも含め、彼らに恐怖を与えるには十分だった。
「 変に私に喧嘩を売らない方が良い。今なら逃がしてあげるけれど、どうする？ 」
覚えてろよ、なんて言葉を吐き捨てながら、男たちは足早に逃げていく。
「 … 私の作戦勝ち、だね。ひとりで男数人の相手なんて身体を痛めてしまう。 」
戦闘にならなくて良かった、と息を吐きつつ、彼女は手元のメスをしまってから檻に近づく。
「 さて、怖い思いをさせてしまって悪かった。私はこの国の軍医をやっているAというものだ。君たちは？ 」
檻の中の子供達は、恐怖やら警戒やら、何もかもを含んだ顔をしていた。
彼らから返答がないことに対して、それもそうか、なんて結論付けつつ、彼女は彼らにニコリと微笑む。
「 では、名前は名乗らなくて良い。……が、こんな所に君たちを置いていけば、間違いなく君たちはまたあのような男に変に使われることだろう。私についてきてくれないかい？ 」
相変わらず返答はない。それどころか、彼らは檻に座ったまま立つ気配もない。
そこで、彼女は思い出す。
「 そうだった。君たちはてんでんに首輪やら口輪を付けているんだったね。御免ね、今外すよ。 」
檻の中に足を踏み込む。刹那、彼らの表情がさらに強ばった。
これは手強い。
彼女はそのように苦笑しつつ、ひとりひとり彼らに付けられた枷を外していく。
やがて、全員の分を外し終えてから彼女は再び微笑んだ。
「 さあて、行こうか。 」
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味噌(プロフ) - はるまきさん» コメントありがとうございます。前作から見ていただけているということでとても光栄に思っております。今後も更新を頑張って参ります故、是非御期待下さいませ。 (2022年1月12日 22時) (
レス) @page48 id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
はるまき - 主様の前の作品のシリーズ面白くて何回も読み返してたんですけど、今回この話を読んで面白いなと思い作者を確認してみたら主様で驚きました。今後ともたのしみにしてます！ (2022年1月12日 0時) (レス) @page10 id: 3f953aa5db (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - シュネーさん» コメントありがとうございます。前編の方、御付き合いをありがとうございました。後編でも御期待に添えられるように頑張ります。今後も是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。面白い、と言って頂けると私としてもとても嬉しく思います。今後も頑張って参りますので是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
シュネー - これで前編……だと……！？後編も楽しみに読みます！！待ってます！！ (2022年1月8日 19時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味噌 | 作成日時：2022年1月1日 13時
