到着 ページ22
「 さて、着いたよ。長旅ご苦労さま。 」
彼女のそんな声と共に、子供たちは荷台から降りる。
約2時間程度の旅だったが、彼らにとっては見たこともないような景色が目の前に広がっているのだからそれはもう素晴らしいものだろう。
「 で 、此処が私の家さ。私は金持ちではないからあまり綺麗な家ではないけれどね、 ｣
彼女がそのように苦笑するのを聞きつつ、彼はきょろきょろと辺りを見渡す。
澄んだ空気。周りには他に家などはないようで、1軒だけぽつりと建っているのが分かる。
山道を登ってきたらしく、それなりに高い場所に位置するらしいこの場所は、自然が豊かで奥には川のようなものも見えた。
彼女は馬を飼っている、と言っていたが、家の横には馬小屋も見える。そこから1匹の子馬がこちらを覗いているのが見え、子供達はわあと感嘆の声を漏らすのだった。
家は綺麗ではないと言われたものの、白を基調としたそれなりに立派な家だ。彼女ひとりで此処に住んで居たのであれば、手入れなどは少し大変そうだが。
「 さて、今日から此処が君たちの家さ。家に入る時は只今、と言うんだよ。 」
「 … ほんまにええの？ 」
そんな彼女に恐る恐る聞くのは兄さんだった。
「 何がだい？ 」
「 こんなりっぱなところに、おれらぜんいんがすんでもええの？ 」
「 なんだそんなことか！良いに決まっているじゃあないか。何度も話すが、私には君たちを育てる義務があるのさ。気にせずに使ってくれ。 」
そんな彼女の返答に安心したのか、彼は少しだけ微笑む。
そんな光景を横目に、子供達は家の中に早く入りたくて堪らない、といった顔をするのだから、彼女も苦笑するしかないのだけれど。
「 今師匠を小屋に戻してくるから、少し待っていておくれ。 」
なんて言って、彼女は馬を小屋の方まで連れていくのだけれど、それを見送りつつ彼らはこそこそと話をする。
「 なあ、ほんまにおれらあのひとにそだてられるん？ 」
「 まだわからんで。こんなやまおく、おれらをにがさんようにするためかもしれんやん。」
「 こわいこといわんといてや、 」
などなど。
暫くして彼女が戻ってくるのが見えれば、彼らはその会話をやめてしまう。
「 待たせて悪かった。それじゃあ、家の中に入ろうとしよう。 」
彼女はそう言って扉を開けるのだった。
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味噌(プロフ) - はるまきさん» コメントありがとうございます。前作から見ていただけているということでとても光栄に思っております。今後も更新を頑張って参ります故、是非御期待下さいませ。 (2022年1月12日 22時) (
レス) @page48 id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
はるまき - 主様の前の作品のシリーズ面白くて何回も読み返してたんですけど、今回この話を読んで面白いなと思い作者を確認してみたら主様で驚きました。今後ともたのしみにしてます！ (2022年1月12日 0時) (レス) @page10 id: 3f953aa5db (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - シュネーさん» コメントありがとうございます。前編の方、御付き合いをありがとうございました。後編でも御期待に添えられるように頑張ります。今後も是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。面白い、と言って頂けると私としてもとても嬉しく思います。今後も頑張って参りますので是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
シュネー - これで前編……だと……！？後編も楽しみに読みます！！待ってます！！ (2022年1月8日 19時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味噌 | 作成日時：2022年1月1日 13時
