悪戯 ページ17
その後、彼女が訪れたのは城の最上部にある部屋だった。
他の部屋よりもずっと綺麗な装飾がされている。
誰が見てもわかる。この国のトップが過ごしている部屋だった。
彼女は、部屋の前まで来るとひとつ咳払いをした。
素直に言うのであれば、彼女はこの国のことが好きではない。
否、語弊がある。
この国の、王が好きではなかった。
しかし、彼女は幹部だ。腐ってもこの国の軍医なのだ。
だから、王に忠誠を誓わない訳にもいかない。
「 失礼するよ。 」
扉を開けて部屋に入る。そこには、威厳に満ちた男が腕を組んで椅子に座っている、という光景が広がっていた。
「 来たか、死神。 」
「 その呼び方で呼ぶのはやめて欲しいと何度言えば分かるんだい？……ところで、私は暇人じゃあない。態々私を呼び出しておいて何用なのかをさっさと語り
彼女はどこまでも嫌そうだった。彼女の口調が少し荒れているのは、見る人から見ればわかるだろう。
「 子供を保護したと聞いたが、誠か？ 」
「 秘密機種で連絡をした通りだよ。14人、子供を保護した。何か問題でも？ 」
にこり。
彼女はそう言って、相手を煽るような笑みを浮かべる。
「 … て 、のか 。 」
「 もっと大きい声で話してくれないと聞こえないのだよ。王のくせに声のひとつ出せないとは、この国も落ちぶれ __ 」
「 巫山戯ているのか！！！！！ 」
彼女の声を遮って、男は怒鳴った。
しかし、彼女は驚くことすらしない。
「 巫山戯ている、と言うのは？ 」
「 国の幹部が子供を保護してどうするつもりだ！いつからこの城は児童養護施設になった！！？ 」
「 …… 。 」
断っておこう。王は、頭の良い男ではなかった。
そもそもこの国__a国は、大して大きな国でもなければ、特別強い国という訳でもない。
治安こそ、表だけ見ると良いものの人身売買やらその他若い女の性的被害だって絶えないような、廃れた国だった。
彼女は理解していた。彼らを連れて帰れば、王が心底激怒することを。
子供に食わせられるほどの飯は無い、やら、誰が育てるのか、やら、兎に角色々な文句をつけて彼らを追い出そうとすることを。
もしくは、彼らをストレス発散のための道具として扱う可能性があることを。
彼女は知っていながら、敢えて彼らを連れて帰ったのだ。
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味噌(プロフ) - はるまきさん» コメントありがとうございます。前作から見ていただけているということでとても光栄に思っております。今後も更新を頑張って参ります故、是非御期待下さいませ。 (2022年1月12日 22時) (
レス) @page48 id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
はるまき - 主様の前の作品のシリーズ面白くて何回も読み返してたんですけど、今回この話を読んで面白いなと思い作者を確認してみたら主様で驚きました。今後ともたのしみにしてます！ (2022年1月12日 0時) (レス) @page10 id: 3f953aa5db (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - シュネーさん» コメントありがとうございます。前編の方、御付き合いをありがとうございました。後編でも御期待に添えられるように頑張ります。今後も是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。面白い、と言って頂けると私としてもとても嬉しく思います。今後も頑張って参りますので是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
シュネー - これで前編……だと……！？後編も楽しみに読みます！！待ってます！！ (2022年1月8日 19時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味噌 | 作成日時：2022年1月1日 13時
