毒薬 ページ13
「 私は医者だが、私に任されるのは何も怪我人の回復だけじゃあない。君たちが怯えると思ったから言わなかったが、私は毒の調合もしているのだよ。 」
彼女はそう言うと、子供達全員を見渡した。
「 難しい話をしよう。敵に大きな影響を与えるために作った毒は、何を意識して作られただろうか。 」
「 … なんのはなしや、 」
「 君がご飯を食べられるようにするためのお話さ。 」
子供達が食べる手を止めて彼女を向く。彼女はにこりと微笑み、それから続けた。
「 どれだけ早く殺せるか、だ。 」
彼女の声はどこか悲しそうだった。
「 上からの命令も勿論あるけれど、私自身もそれが一番手っ取り早い方法だと思うのさ。人を殺すために作る兵器だからね。殺戮の意味を成さなければ何の意味もないだろう。 」
すると、彼女は少しだけ待っていて、とだけ残して部屋を出ていった。数分後に帰ってきた彼女は、手にひとつの瓶を持っていたのだ。
「 大人ですら即死するような毒だ。君たちのような子供が口にすれば、ものの一瞬でおさらばしているはずだよ。……そして、この瓶。この瓶はとても小さいが、この中に入っているのは猛毒さ。口にすれば高熱や吐き気、それから頭痛や…酷い時には意識の混濁、痙攣、呼吸困難だって起こり得る代物だよ。 」
子供達が驚いた顔をする。中には怯えた表情を見せた子供もいた。
彼女は、それを見て続ける。
「 なあに、君たちに飲ませる気などさらさらない。さらに、その料理に混ぜるつもりもない。作ってくれた料理長に失礼だからね。 」
「 なら、なにをするつもりで …… 、 」
「 鬱は、私が毒に慣れている可能性があるからご飯を食べられないと言っただろう？だから、君がご飯を食べられるように証明しようと思ってね。 」
「 … せんせい！ 」
その言葉の意味を察したのか、グルッペンが小さく声をあげる。
しかし、それを無視して彼女はビンの蓋を開けると、その中にあった液体を全て飲み干してしまった。
「 っ 、せんせい ！！！！ ｣
グルッペンやひとらんらんが彼女の元に近づこうとする。
「 良いかい？今私に近づくのはよして欲しい。今はまだ、鬱への“教育”の最中だからね。 」
彼女はへらりと笑った後に、そのようにして彼らの動きを止めた。
彼女はどこまでも、笑顔なのだった。
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味噌(プロフ) - はるまきさん» コメントありがとうございます。前作から見ていただけているということでとても光栄に思っております。今後も更新を頑張って参ります故、是非御期待下さいませ。 (2022年1月12日 22時) (
レス) @page48 id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
はるまき - 主様の前の作品のシリーズ面白くて何回も読み返してたんですけど、今回この話を読んで面白いなと思い作者を確認してみたら主様で驚きました。今後ともたのしみにしてます！ (2022年1月12日 0時) (レス) @page10 id: 3f953aa5db (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - シュネーさん» コメントありがとうございます。前編の方、御付き合いをありがとうございました。後編でも御期待に添えられるように頑張ります。今後も是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。面白い、と言って頂けると私としてもとても嬉しく思います。今後も頑張って参りますので是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
シュネー - これで前編……だと……！？後編も楽しみに読みます！！待ってます！！ (2022年1月8日 19時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味噌 | 作成日時：2022年1月1日 13時
